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[オピニオン]偽物のシンデレラ

Posted July. 16, 2007 03:26,   

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画家たちにインタビューする際、「作品について説明してほしい」と要請すれば、難色を示す場合が多い。ある画家は、「あるがままを心で感じてほしい」と短く答えたりもする。感性の領域の属する美術作品を、論理的な言語で説明してほしいという質問そのものが遇問になりかねない。美術界の内部システムも似ている側面がある。企業なら入社の際、さまざまな証明書や確認書を求めるが、美術界では本人が特定の学校を出たといえば、おおむねそのまま信じ込む傾向がある。芸術界だけで感じられる独特な雰囲気だ。

◆光州(クァンジュ)ビエンナーレの芸術監督に任命されたものの、学歴偽造が明らかになったシン・ジョンア氏は、美術界のシンデレラと呼ばれてきた。同氏は1997年、ある美術館を訪ねて、キューレーターとして雇ってほしいと願った。米国カンザス大学や同大学院を卒業したと自分を紹介した。国内の各美術館は零細極まりないうえ、キューレーターという職業も低賃金で、その役割がはっきりと定まっていない。美術館側ではたいした負担も感じず、同氏を採用した。米国に学歴を照合することなんて、考えもしなかっただろう。始まりは微弱だったが、同氏の出世のスピードは驚くべきものだった。

◆シン氏はただちに頭角を現した。同氏が企画したという展示会が評判となり、名前が知られ、メディアにもたびたび登場した。シン氏が米国イエール大学で美術史で博士号を取ったと自分をPRしたのは、鬼に金棒となった。大学教授として抜擢され、ビエンナーレの監督にまでなったのは、名門大学の博士号が功を奏したためだ。しかし一方では、変な噂が出回り始めた。同氏が国内にいながら、米国の名門大学で博士号を取ったということへの疑問が持ち上がった。同氏が思ったほど、美術界は生易しいものではなかったわけだ。

◆人間の欲には限りがない。うそをついて一度、味をしめた人は、なかなか自制がきかない。そのため、ともに発達するのがうそを見分ける人間の能力だ。最近のように、情報公開が進む世の中で、人々を長期にわたってだますのはほとんど不可能なことだ。遅ればせながら、結局、真実は明らかになった。しかし、教授と採用される過程で明らかになったずさんなチェックシステムは補完されるべきだ。芸術界でも後味が悪いかもしれないが、いい経験になったはずだ。

洪贊植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com