「偉大な5共和国の憲法は誰でも尊敬心を持って接するべきだ」。ニコラ・サルコジ・フランス大統領が12日、エピナルで行った演説の内容だ。
憲法に丁寧な礼儀をわきまえたものの、現行の憲法を守護すべきだという意味ではなかった。同大統領は、「憲法が作られて半世紀が経った。その間、フランス社会が急変したため、統治のやり方を顧みる時期に来ている」と強調した。ストレートな物言いで頻繁にスキャンダルの的になるサルコジ大統領としては普段とはずいぶん違う姿勢だった。
18日、サルコジ大統領は憲法の見直しを進める13人のフランス「共和国現代化委員会」を発足させた。ル・モンドは、サルコジ大統領が委員長のエドゥアール・バラデュール元首相に送った任務委嘱書信で「大統領と首相の関係」「議会の行政府に対するけん制力の強化」などを検討することを頼んだと報道した。
サルコジ大統領の改憲の方向は一言で「米国式の大統領制要素の強化」だ。これまで首相が議会に責任を持ったが、これからは大統領が直接議会に責任を持つ関係に変えるということだ。行政府の高位職の任命には議会の承認を受けるようにし、議会の票決なしに法を制定できる行政府の権限もなくす方向へ議論が進められている。
サルコジ大統領はフランス式の分権型統治構造を指して、「実際は大統領が後ろですべてを決定していながら、表に出ている首相だけが責任を持つ統治構造だ」と批判してきた。韓国で一時、分権型統治構造を先進的な制度と褒め称える声も出たが、いざ本場では廃棄される危機に追い込まれたわけだ。
改憲内容には大統領の赦免権の制限も含まれる見通しだ。サルコジ大統領は革命記念日(14日)に際して、歴代大統領が慣例的に行ってきた大赦免も「国王の赦免を連想させて民主社会の行刑精神と合わない」とし、最初から行わなかった。任期中、赦免権を行使しておきながら、最近になって大統領特別赦免権を問題視した盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領とは対比される姿だ。
サルコジ大統領の「改憲ドライブ」も独断的な推進とは程遠い。サルコジ大統領は政派を問わずに委員を委嘱した。万事、自分が乗り出してこそ気が済む「スーパー・サルコジ」だが、憲法の見直し問題だけは国の長老に任せたもの。
サルコジ大統領は特に、社会党の大物であるジャック・ラン元文化大臣および教育大臣を招聘するために尽力した。フランソワ・ミテラン元大統領時代、最長寿大臣を務めたラン元大臣は、結局、社会党の指導委員職を辞めて委員会に参加し、党内で波乱を起こした。
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