政府では最近、事前検討を十分に行わず、現実味のない生半可な政策を相次いで出している。
とりわけ、このような政策は、おおむね具体的な実施時期や財源の調達方法が決まらないまま発表され、年末の大統領選挙を意識した「大衆迎合主義」や「ばら撒き政策」という議論も起きている。
政府は30日、政府果川(クァチョン)庁舎で、権五奎(クォン・オギュ)副首相兼財政経済部長官の主催で経済政策調整会議を開き、「2段階サービス産業競争力強化のための総合対策」を発表した。
政府は、農地に大衆(パブリック)ゴルフ場を建設できるようにした上で、さまざまな税金や負担金を引き下げ、現在の利用料の半分で利用できる「半値ゴルフ場」の建設を誘導する方針だと発表した。
このため、農民たちが農地をゴルフ事業者に現物出資する場合、所得を確保できるようにすると、付け加えた。
しかし政府は、全国の農地にゴルフ場を何ヶ所建設できるかなど、需要の調査を行わなかったのはもとより、省庁間の協議すらきちんとまとめないまま、対策を発表した。
同日の発表について、ゴルフ業界では、「現実を考慮していない対策だ」という反応を示した。韓国ゴルフ場経営協会側では、「ゴルフへの需要は首都圏に集中しており、首都圏周辺のいい場所にはすでにゴルフ場が建設されている」とした上で、「地方のゴルフ場は利用客が減っているのが現状だ」と述べた。
政府は先週発表した2段階の国家均衡発展の総合対策では、地方で創業したり地方に移転する企業に対しては、法人税を最高70%まで下げると発表した。
同対策と関連して政府は、医療サービスや教育環境改善事業などで、追加的な財政負担が来年だけでも1兆ウォンに上ると展望しながらも、財源の調達方法を明らかにせず、首都圏企業への差別だという批判も受けている。
最近、企画予算処が90の地方移転した公共機関を相手に、今年下半期(7〜12月)から、該当地域の出身をより多く採用するように勧告した政策も、同じく首都圏の人材への逆差別の可能性が大きいという指摘も出ている。
政府が大統領の指示を受けて、自営業者のクレジットカードの加盟店への手数料の引き下げを推進し、貸付業者に適用される最高利息率を年66%から49%に引き下げたことも、「市場の原理を無視した政策」の事例として取り上げられている。
これに対して、財政経済部の趙源東(チョ・ウォンドン)次官補は、「サービス産業への対策は、全体的に韓国経済の効率を高めるためのものであり、特定階層を優遇するためのものではない」と説明した上で、「現政府は、任期が終わるまで引き続き仕事をしようとしているわけで、これをばら撒き政策とみなしては困る」と話した。
しかし、漢陽(ハンヤン)大学経済金融学部の羅城麟(ナ・ソンリン)教授は、「サービス産業の競争力強化は、国の競争力を育てるために必要な政策ではあるが、国民の税負担の増加や財源調達への対策すらないまま、急いで発表するのは、ばら撒き政策だと疑われて当然だ」と指摘した。