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[オピニオン]朴壽根と李仲燮

Posted August. 06, 2007 03:04,   

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文化産業の威力を説明するとき、よく登場する事例が画家のヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(1853〜1890)の絵画の値段だ。ゴッホの生存当時、1点の絵画を描くのにかかったお金は100ドルぐらいと推定される。彼の作品のうち、「ガッシェ博士の肖像」は、1990年のオクションで8250万ドルで売れた。美術品を世俗的な金額で換算するのは、作家には申し訳ないこことだが、実に82万5000倍の付加価値を創出したわけだ。

◆5月の国内美術品のオクションで45億ウォンで取引された朴壽根(パク・スグン)の絵画「洗濯場」は、80代の米国人が50年間所蔵してきたものだ。韓国で数百ドルでこの絵を購入したはずの同氏は、残りの人生の間、使いきれないほどの巨額を手に入れた。世界的に高成長を謳歌している美術市場の周辺ではこのような「一発大もうけの神話」が収集家たちの心を騒がせる。しかし、美術品の値段が上がるにつれ、毒キノコのように増えるのが偽造品だ。購買者の目をだますことさえできれば、簡単に一儲けできるためだ。

◆国内最高の画家はほかならぬ朴壽根と李仲燮(イ・ジュンソプ)だ。朴壽根の絵からは1950、60年代の貧しかった時代のおぼろげな郷愁が、李仲燮にはのたくる芸術家の魂が感じられる。遺作は、朴壽根が300点あまり、李仲燮が500点あまりに過ぎないという。作品の数が少ないだけに、価格も天井知らずで上がり、1点あたりに少なくとも10億ウォンを払わなければ手にできない。それだけに偽作がはびこり、彼らの作品はまず、疑ってみるべきだというのが常識となっている。

◆先日、二人の画家の作品2800点が新たに公開され、真偽をめぐる攻防が繰り広げられ、検察が偽作であるかどうか、判断を下すための確認作業を行っている。第1次検証結果、専門家たちは「すべてが偽作だ」と結論を下した。一部の作品では、作家の生存時代には使わなかった「パールの絵の具」が見つかった。絵の具やキャンバスを手にすることすら難しかった時代に、2800点という多くの絵を描くのが果たしてできただろうか、疑ってみるべきだ。偽作騒ぎはあらゆる劣悪な条件と戦いながら、その名をはせた二人の「国民画家」への礼儀ではない。美術界が断固たる追放の姿勢を見せない限り、共倒れへの道を歩まざるを得ないだろう。

洪贊植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com