登場人物10万人。2万人がカードセクションを、5万人が体操と芸術公演を披露する。進行、音楽担当など補助人員3万人。観客20万人。北朝鮮が誇る「アリラン公演」の外形だ。世界最大の集団体操と芸術公演でギネス・ブックにも載った。北朝鮮はカードセクションと公演のために5ヶ月以上、血の涙を流して練習しなければならない幼い学生数万人の苦難については一言もない。
◆「アリラン」の正式公演は2002年に始まった。今年が三度目だ。4月14日から5月5日までの1次公演に続き、今月1日から10月10日まで2次公演が行われる。公演は北朝鮮の記念日と連携している。2005年は光復(日本からの独立)601周年と労働党の創建601周年のための舞台だった。今年1次公演は金日成(キム・イルソン)主席の95回の誕生日(4月15日)と人民軍創建75周年(4月25日)の祝賀行事だった。
◆大部分の観客は北朝鮮の住民だが、外貨稼ぎのために外国人も誘致する。2005年には、韓国の観客を大々的に招待した。政府もそれに応え7400人が平壌に駆け付けた。アリラン観覧を含む1泊2日の旅行が1100ドル、2泊3日は1500ドルだった。1100万ドルの外貨収入のうち、大部分が韓国側観客のポケットから出た。今年の観覧料は、2等席基準で100ユーロ(約13万ウォン)。
◆北朝鮮は水害を理由に南北首脳会談を10月に延期したが、「アリラン」は大丈夫だ。全国から動員した住民観客が水害復旧に多忙であるべき人手という点で理解できない。外貨稼ぎのためだという分析があるが、今年は韓国側の団体観客を招待しなかっただけに説得力が劣る。残るのは政治的理由。金日成父子を褒め称える内容に満ちた公演を中断しようと、誰が敢えて主張するだろうか。2000年10月に特別公演を見たマデレーン・オルブライト当時米国務長官の所感に答が盛り込まれている。「10万人が一糸乱れずに踊るのは初めて見た。そんなことができるようにするためには独裁者がいなければならない」
方炯南(パン・ヒョンナム)論説委員 hnbhang@donga.com