映画『王の男』、『ラジオ・スター』を手がけた李濬益(イ・ジュニク)監督の新作『楽しい人生』(9月13日に公開)は、簡単にセうと「40代の中年男達がバンドを結成し、活動する物語」だ。大学の同窓、キヨン(チョン・ジニョン)、ソンウク(金ユンソク)、ヒョクス(金サンホ)は、同じバンドのメンバーだった友達の死をきっかけに、バンドを再結成する。ぴったり予測通り展開する物語だが、男達には共感できるほどの現実があり、その突破口が音楽であるので、そこから感じられる楽しさがある。さたに、死んだ友たちの息子ヒョンジュン(チャン・グンソク)をバンドに合流させ、「音楽を通じた世代間の疎通」について語ろうとする。同映画の情緒的テーマ「40代の感性」を代弁する李監督と、二十歳になったばかりの俳優チャン・グンソクに、映画と人生について尋ねてみた。
映画
▲李ジュニク〓お金で埋めなければならないものを体で埋めて、今回も経済的に(28億ウォン)撮った。この労働の筋肉を見てみてほしい。素朴かつ人間的って?「誤解の幅を狭める映画」を目ざしている。誤解は、無知から生まれる。率直になれば人間的になることができ、誤解が解消される。『王の男』も結局、王も道化師も全く同じ人間だという物語だった。
▲チァン・グンソク〓一度も自分が俳優だと思えたことがなかった。単に芸能人だった。それで、さ迷ったりもしたが、映画の撮影に臨みながら、先輩らの姿が自分が目ざしている俳優の姿であることに気付いた。
中年
▲李〓韓国の40代の男達はかわいそうだと思う。人生が緊張の連続だ。もちろん、女性達は話すだろう。「女も同じよ」と。その通りだ。だけど、一度だけでいいから「あなたたち、苦労してるのね」と認め、励ましてほしいということだ。中年に「大人になるな」というメッセージを伝えたかった。
▲チャン〓中年の先輩らとのジェネレーション・ギャップを心配したが、幸いそんなものはなかった(そばにいた李監督は「クンソクは年寄りくさい若者で、私達はカギみたいだから」と説明してくれた)。でも、中年?といってもピンと来ない。結婚もまだまだファンタジーのように思えるし。
音楽
▲李〓ロックは抵抗と自由を意味し、ロッカーになって舞台に立てば、あたかも世の中の中心に立ったような気持ちになる。熱狂する観客らは、代理満足を感じるのだろう。ロック・ミュージックは西洋音楽だが、韓国の遊び文化、とくにマダンノリ(韓国伝統の舞台)に似ている。その中核は、舞台と観客が「一つになる」ということだ。
▲チャン〓私は人気グループ「H.O.T」や「god」の音楽を聞きながら育った世代だ。ところが、最後のコンサート・シーンの撮影に臨む際に、これまでは一度も感じてみたことのない喜悦で、撮影が終わった後も、しばらくのあいだ舞台から降りることができなかった。「この喜悦のために、公演が終わった後に2000ウォンの食事をしながらも、ロックをするんだな」と思った。
夢
▲李〓やりたい放題ばかりできるわけではないが、現実を改善することはできる。韓国の40代がまい進する対象はひたすら子どもだ。そろそろ、子どもたちを解放させてやるべき時点だ。勉強で成功する子どもは10%にもならない。私は高校時代にクラスで58番目だった。やりたいことが何かを分かっていれば、楽しい人生だ。私たちはしてはならないことについては博士だが、自分が何をしたいのかについては分かっていない。
▲チャン〓楽しい人生…私はいま幸せです。これで満足しないつもりですが。
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