釜山(プサン)の建設業者・キム某氏(41)が釜山蓮堤区蓮山洞(ヨンジェグ・ヨンサンドン)の大規模な再開発事業を成功させるために、鄭允在(チョン・ユンジェ)前大統領秘書室儀典秘書官を通じて、国税庁当局者らに働きかけた情況が分かり、同事業への関心も高まっている。零細企業がいかにして数千億ウォン台にのぼる事業を進められたのかについての疑惑はもちろん、建設大手が施工に参加したことや、銀行界の融資を受ける過程——などで釈然としない部分が次々と捕捉されている。
○I社と蓮山洞再開発事業
蓮山洞再開発事業の施行を受け持っている会社・I社が金融監督院に提出した監査報告書によると、同社の資本金は3億ウォン(約3600万円)で、持株はチョ某氏ら4人が保有しており、キム氏は代表取締役に登載されているだけだ。I社の昨年の売り上げ実績は全くなく、利子費用などにより当期の純損失だけでも80億ウォンに達する。同社は、キム氏が蓮山洞の再開発事業に着手しはじめた05年4月6日に設立した会社で、事実上「ペーパーカンパニー」にすぎない。
建設業界の説明によると、マンション施行会社の特性上、資本金の規模が小さいことはありうるが、この程度の大きな事業ならば該当会社や親会社、または事業主の資金力にある程度支えられていなければ簡単に着手できない。蓮山洞再開発事業は老巧化した住宅地8万7054平方メートルを買い入れて、マンション1440軒を作るもので、1軒当たり=平均2億5000万ウォンで分譲するとしても、総事業費が3600億ウォンにのぼる。
釜山では同地帯が温泉を挟んでいるうえ教育環境も良く、事業が成功すれば、施行会社が一度に数百億ウォンを手に入れることができる地域として注目されてきた。しかし、事業性が良いとはいうものの、工事の実績が全くないだけでなく、資金力も十分ではないものとされたI社が施工大手のP社を引き込んで、事業を進めた背景は依然として確認されずにいる。これについて、P社側は「I社が施工を依頼した時点には、すでに既存住宅のうち約70%を買い入れることで、家主らと約定を結んだ状況だったために、事業が順調に進むだろう、と判断していた」と伝えた。
○融資めぐる疑惑
P社は昨年6月、I社と事業約定を結ぶ際に、土地の買い入れと建築費などのための融資金に対し、責任施工を担保にした連帯保証をした。P社は総2650億ウォンに対する保証をとったとしているが、I社の監査報告書には1950億ウォンだけが記載されている。したがって、700億ウォンは帳簿上には存在せず、P社もその理由については全く知らない、としている。
P社関係者は「I社がどのように会計を処理したのかは分からないが、われわれは確かに2650億ウォンに対する保証をした」と話した。建設業界では、融資の金利が低いとの点にも注目している。I社の監査報告書には、国民(グクミン)銀行とウリ銀行から借りた19500億ウォンの金利が年5.55%と5.33%となっている。各金融会社は、住宅建設事業に資金を融資する場合、連帯保証をした施工会社の信用度はもちろん、該当事業の展望や施行会社の資金力まで総合的に検討する。
当時、釜山地域のマンション事業場が6%前後の金利で融資を受けていたとの点から考えると、かなり低いとのこと。これに対し、国民銀行とウリ銀行側は「施工会社のP社の信用度が非常に良いだけに、その程度の金利は当時としては妥当なレベルのもの」とし「銀行が金利を提示したのではなく、P社が競争入札をし、金利を決めていたことから、特別恩恵はなかった」と釈明した。
koh@donga.com toto@donga.com