「1億人の声より、1人の信念がヒット商品を生み出す」
日本の経済専門週刊誌「日経ビジネス」が最新号の特集記事で、新商品の開発動向やヒット商品の誕生秘訣を分析した後、このような結論を下した。
同誌はまず、「各電子メーカーでは消費者たちの目がすぐ止まる数値にこだわる余り、無意味な出血競争を繰り広げている」と指摘した。
フラットパンネル・テレビの映像が変化する時間を表す「応答速度」が、その一例。各電子メーカーでは、「私たちは0.008秒」、「私たちは0.006秒」と記録を競っているが、応答速度が0.016秒以下の場合、人間の目はほとんど差を感じない。
記事は、「顧客の声ばかり追っかけまわっては、顧客に驚きや感動を与えることはできない」とし、消費者調査への盲信を捨てるべきだと強調した。
そのうえで「ヒット商品を生み出すためには、顧客を裏切る覚悟をしなければならない」として、顧客の意識を飛び越えて成功したいくつかの事例を紹介した。
筆記具メーカのパイロットでは、鉛筆のように消すことのできるボールペン、「フリークッションボール」を今年3月に発売し、日本はもとより欧州などでも大人気を博している。
水の代わりに空気を使う三洋電機の洗濯機や保温機能の加わったシャープの新型冷蔵庫も、消費者たちの固定観念を思い切って破った「裏切り」のおかげで、ヒット商品の列に加わった。
日経ビジネスは、「ヒット商品を生む活力は個人の信念」だとして、シャープの電気釜「本炭釜」をその例としてあげた。炭の入った本炭釜は、ほとんど不可能だと思われていた製造技術上のハードルを、開発者の2年間に渡る執念で解決した。価格も従来の電気釜の5倍だが、予想を上回る販売量を記録している。
iam@donga.com