「悲しいことだが、米国が直面した現実だ」
米国務省のある関係者が、最近イラクのバグダッドに建設中の新しい米大使館の建物に対するマスコミの批判に対して出した非公式の論評だ。同関係者が言った「悲しいこと」とは、米国が世界各地で要塞のように高くて厚い城壁に囲まれなければならない現実を意味している。
9・11テロ6周年(11日)を迎え、ワシントンでは2つの建設工事が話題を呼んでいる。
歴史上最大規模の海外公館である駐イラク米国大使館と金城鉄壁のようにリノベーションされている国防総省庁舍(ペンタゴン)の工事だ。いずれも「テロとの闘い」真っ最中の米国の現実を改めて実感させる。
▲城の中の城、バグダッド大使館〓バグダッド市内のチグリス川西方には、徹底したセキュリティの中で、米国大使館の新築工事が最終段階に入っている。
川岸の公園だった土地の譲渡を受けて建設中の大使館の敷地は約42万平方メートル(104エーカー)、ニューヨーク国連代表部の6倍で、北京に建設中の米国大使館の10倍、バチカン全体に匹敵する面積だ。
2.7メートルの高さの壁に囲まれた敷地内には、21の建物が立ち並ぶ。発電所、上下水道処理施設、プール、映画館、ショッピング施設、社交クラブなどだ。
メリーランド大学のジェーン・レフラー教授(建築史学)は、「フォーリン・ポリシー」9・10月号の寄稿文で、「海外公館は、その地域社会と交流しながら、米国の善意と民主主義の価値を宣揚する場所でなければならない。しかし、大使館建設のコンセプトは、前哨基地の構築だ」と指摘した。
さらにレフラー教授は、「米政府は、イラクの民主主義の将来に自信を表明するが、長期間の大規模暴力の持続に備えて建てられた大使館からは、イラクの未来に対する何の自信も見られない」と述べた。
▲要塞化する国防総省〓ポトマック川の近郊にある国防総省の敷地内には、9・11テロで死亡した184人を追悼する記念館が来年完工する。しかし、記念館よりも大きな変化は、国防総省全体の概念が、オフィスから一種の要塞に変わったことだと、ワシントンポストは9日付で報じた。
建物の窓は、大規模な爆撃に耐える特殊ガラスに変わり、内部には先端警報システムが設置された。1000人規模の警備・警察隊は、いかなる化学、生物学、放射能の攻撃も阻止できるセキュリティ能力を備えた。訪問者は、敷地外の駐車場に車を止め、建物に入るために、何重もの防壁上の陸橋のような人道を10分以上歩かなければならない。
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