南北首脳会談に向けて来月2日に訪朝する盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領には、国民と次期政府に過度に負担となる論議や合意は、自制することを望む。まだ、議題と日程が確定されていないが、和平体制と西海(ソヘ)北方限界線(NLL)問題、大規模な対北朝鮮社会間接資本(SOC)の投資提案などが主な議題になるという。金正日(キム・ジョンイル)総書記と並んで座り、金日成(キム・イルソン)、金正日親子を称揚する集団体操「アリラン」の公演も観覧するという。どれ一つ論議の種にならないものはなく、正直に言って「事故を起こすのではないか」と心配される。
今回の会談の核心は、北朝鮮の核問題をどのように完結するのか、金総書記からはっきりとした約束を取りつけることだ。核問題に進展がない状態で行われるそれ以外の合意は、大半が無意味だ。金総書記が、「韓半島の非核化は金日成主席の遺訓」という曖昧な言葉で適当にごまかそうとしても、金総書記の言葉を切って「この席で、核放棄の意思を明確にせよ」と決然として注文しなければならない。7日の韓米首脳会談後の共同記者会見で、ブッシュ米大統領をせき立てた頼もしい盧大統領ではないか。和平体制問題は、その後に真剣に論議しても遅くない。
NLL問題も、無理に取り上げる考えをやめることが正しい。北朝鮮側が執拗に要求しても、既存の閣僚級会談で論議するよう誘導するか、「次期政府と議論せよ」と避けなければならない。
盧大統領は一昨日、金泉(キムチョン)革新都市起工式の祝辞で、「今回、私は北朝鮮に行くが、土地公社、道路公社の仕事を多く作ってくる」と述べた。緻密な戦略がない対北朝鮮SOC投資は穴のあいたつぼに水を入れるようなものであり、金正日政権の維持に助けだけを与え、韓国国民は病むことになるものと憂慮される。平壌に呼ばれたと「手形」を乱発してはいけない。
盧大統領は、アリラン公演の性格も承知しているだろう。北朝鮮体制が優れていると宣伝する公演の観覧をめぐり、李在禎(イ・ジェジョン)統一部長官は、「両首脳がともに観覧すること自体が、全世界に向けた平和メッセージになる」と寝言のようなことを言った。李長官は、児童・人権侵害の要素があるという指摘に対しても、「人権問題は、該当地域の環境と特性によって異なる解釈ができる」と述べた。私たちは李長官の理性を疑う。
多くの国民が反対すればするほど食い違うのが、盧大統領の特技なのかわからないが、今回だけは、節制の美徳を示すことを望む。それが任期末の大統領の正しい振る舞いであり、国民に対する最後の責務だと言っても過言ではない。