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史劇のブームの中、「ミスキャスティング」の議論

史劇のブームの中、「ミスキャスティング」の議論

Posted October. 02, 2007 03:05,   

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タムドク(鞖勇俊)を殺そうとする敵を避けて、キハ(文素利)は、気を失ったタムドクをつれて難民村に身を隠す。切ないまなざしで、眠っているタムドクを眺めるキハ。明け方に手紙を残して、旅に出て…。目がさめたタムドクは、心痛めながら手紙を読む。

人気の中で放送されているMBCの水木ドラマ「太王四神記」(脚本=宋智娜、演出=金鍾学)の一シーン(27日の放送分)だ。男女の主人公の切なる愛が披露されるシーン。しかし、ドラマが終わるや、このシーンに対する視聴者たちの議論が熱かった。キャスティングのためだ。

●「文素利の都会的なイメージは可憐な神女には似合わない」

最近、史劇のブームのなかで、視聴者たちのキャスティングへの関心が増大している。視聴者たちはドラマを見ながら、「誰と誰はお似合い」「誰はミスキャスト」など劇中の役柄と俳優の「密着度」にとりわけ関心が高い。

キャスティング議論の中心は、「太王四神記」で、キハ役を演じる文素利(ムン・ソリ、33)。ドラマのなかで文素利は、神話時代の火の神女「カジン」が蘇った「キハ」だ。小さい時の記憶を失い、高句麗国内城(コグリョ・クンネソン)の天地の神を祭る祠に入り、神女としていきながら、高句麗の太子、タムドクと、高句麗を滅亡させようとするファチョンファの間で、悩む人物。

多くの視聴者たちは、文素利の都会的なイメージや個性の強い外観などが、神秘的で可憐な運命の持ち主である神女の「キハ」役には似合わないと指摘する。視聴者のチョ・ソンイル氏は、「文素利が鞖勇俊(ぺ・ヨンジュン)の叔母のような気がして集中できない」と話し、視聴者のカン・ミンギョン氏も、「女優はきれいな人でなければならないという思いは強くないが、キハのキャラクターは文素利氏の役柄とはあわない」と話した。しかし、一部の視聴者たちは、「演技がうまいのに、どうして外観だけで揚げ足を取るのか分からない」と反ばくする。このドラマの掲示板には、文素利のキャスティングへの書き込みが1500余りもある。

SBSの月火ドラマ、「王と私」(脚本=ユ・ドンユン、演出=金在衡)も同様だ。放送初期、20%台の視聴率を記録し、史劇のブームを主導したが、8回目の放送(18日)以後、視聴率が10%台にまで下がった。一部の視聴者は、子供役を経て、8回目から登場した主人公たちの、成人配役のオ・マンソク(チョソン)やコ・ジュウォン(成宗)、ク・へソン(ソファ)などが役柄と似合わないというのが原因だと指摘する。一方、同じ時間帯に放送される「イサン」(MBC)の正祖(チョンジョ)役の李ソジンは、放送前には似合わないと言われていたが、今は割合よく似合っているという評価が多い。

●キャスティングの議論はなぜ、史劇に多いのか?

史劇の場合、特にキャスティングの議論が多い。「太祖王建」の王建(ワン・ゴン)と、「海神」(以上KBS)の張保皐(チャン・ボゴ)役のチェ・スジョンや、「不滅の李舜臣」(KBS)の金ミョンミン、「張禧嬪」(KBS)の金ヘス、「チュモン」(MBC)のイェ氏夫人役のソン・ジヒョなども、放送初期、役柄と似合わないという評価を受けた。

文化評論家たちは史劇でのキャスティングの議論が特に多いのは、△視聴者たちが従来の歴史の中のイメージと俳優のイメージを比較する上、△史劇の特性が俳優の個性を制限するためだと指摘した。文化評論家の李ヨンミ氏は、「現代劇の場合、同じシナリオでも、俳優によってキャラクターが創造される、ユニークな側面が強いが、史劇は王や将軍など、役柄の典型性が強く、俳優たちが演じる役柄で、特有の個性を発揮しづらい」と評価した。映画の中で見せた文素利の強力で独創的な個性が、ドラマではそれほど光を放っていない理由だ。

テレビドラマの属性そのものが、「史劇のミスキャスティング」の議論をあおるという指摘もある。映画の場合、多様なジャンルに似合う個性を持つ俳優たちが主人公を演じるが、テレビドラマはおおむねメロが中心であり、外観を重んじて、「善男善女」の俳優たちで構成されてきた。これが、視聴者たちの認識を、「メロー=善男善女」と固定させたわけだ。

製作チームでは、視聴者たちが役柄を過度にビジュアル的な側面だけで判断していると語る。実際、一部の視聴者たちは、オ・マンソクの演技より、「チョソン(オ・マンソク)の髪型がおかしい」と批判する。

金鍾学(キム・ジョンハク)プロダクションの朴チャンシク製作取締役は、「製作チームはビジュアル的な面とともに、演技の能力や経験、重労働に近い史劇を最後までやりとおせる演技の持続性など、ドラマという共同作業そのものをまっとうできるどうかも、ともに考慮する」と語った。



zozo@donga.com