李容勲(イ・ヨンフン)最高裁判所長官が、鄭允在(チョン・ユンジェ)、申貞娥(シン・ジョンア)氏の令状棄却による裁判所と検察の対立を憂慮して、「国民的観点で調和点を見出さなければならない」と述べた。検察は最近、全国高等検察庁長会議を開き、裁判所の令状棄却の事態について論議している。このような時点で、李最高裁長官は、両者が極端に突き進むことを防ぐために、仲裁の発言をしたと見ることができる。
証拠隠滅と逃走の憂慮がない事件で、非拘束捜査と裁判は司法が進むべき正しい方向だ。しかし、国民的疑惑が注がれた事件であればあるほど、令状段階から法を厳しく適用し、真相を究明することも放棄してはならない価値だ。権力型不正腐敗の清算は、先進社会に進むための韓国社会の課題である。
両事件いずれも権力型不正にあたる。鄭允在元大統領儀典秘書官は、公務員が賄賂を受け取って、税務調査を中止させる不正の連結の役割をした。卞良均(ピョン・ヤンギュン)元大統領政策室長は、国民の税金である国家予算を利用して、申氏の出世を助けた。権力層やその関係者たちに適用された令状棄却の原則が、普通の人々にも同様に適用されているのかという抗議に、裁判所が自信をもって否定できるだろうか。「有力無罪」という批判を受ける素地がある。証拠隠滅の憂慮に対する判断も、裁判官によって異なる可能性がある。
申氏に対する令状が棄却されると、検察は「司法の無政府状態を引き起こす措置」として強く反発した。これも適切な対応だと見ることはできない。令状発行は、個別の裁判官が独立して決定することだ。検察の声明に、多くの裁判官が激昂したという。
李最高裁長官は、「具体的な事件に対して、ああしろこうしろとは言えない」という点を明確にしながらも、「検察の不正腐敗捜査を裁判所が妨害することはありえない」と述べた。司法部の首長として、裁判所と検察の対立が放置できない事態に至ったと判断したようだ。李最高裁長官の言葉どおり、裁判所と検察は、両事件の真相究明に向けて調和の取れた接点を見出さなければならない時だ。