「処暑(今年は8月23日)を過ぎると、蚊の口が捩れる」という諺とは違って、ずいぶん肌寒くなったにも関わらず、蚊が依然として活発な動きを見せている。瑞草(ソチョ)区で蚊の防疫を20年間担当している金ヒョンス氏は、「処暑が過ぎた後、蚊が消えるという諺はもう都市部では当てはまらない言葉で、蚊による被害は四季を通して発生している」と話した。
瑞草区の蚊と関連した苦情の件数は昨年101件だったものの、今年は1〜9月中に240件と倍以上に急増した。このように季節と無関係な蚊の被害が増えたため、関連製品の販売も大幅に増えている。
ロッテマートは今月初め10日間、殺虫剤の販売額が昨年同期に比べて53.5%増えたと発表した。また、インターネットショッピングモールのGSイーショップのソル・ヨンチョル課長は、「2年前からは蚊の退治製品を年中販売している」と話した。
蚊による被害は都心や「お金持ちの街」として知られているソウル江南(カンナム)地域でも例外なく発生している。マンションの浄化槽や集水井(使った水を集めるところ)で蚊が大量で繁殖している上、古いマンションには木や草など緑地が多く、蚊の棲息に「理想的」な条件だ。
マンションの浄化槽には冬季、氷点下の天気にも蚊が生存する。また、都心には森、河川がないが、夏の間増えた蚊が温かい室内を移動しながら引き続き生存している。
蚊は換気口やエレベーターに乗って移動するため、最近は超高層高級住商複合マンションの最上階でも蚊が発見される。
蚊と関連した住民の苦情が増えたことを受け、地方自治体も非常体制に突入した。瑞草区などはドジョウのような天敵を利用した蚊の退治法を開発して利用している。
このように蚊が増えたのは、地球温暖化など気候の変化のためという分析も出ている。温帯地域だった韓国の気候が亜熱帯性へ暖かくて湿っぽくなったため、蚊がさらに活発になったということだ。このため、マラリアなど蚊が移す伝染病の危険がさらに高くなるという指摘も出ている。
ソウル保健大学のヤン・ヨンチョル(衛生害虫学)教授は、「今年のように夏と秋に雨がたくさん降る気候が蚊の棲息に、もってこいの条件であるという点は間違いない」と述べた。
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