先週、総合株価(コスピ)指数は、4日連続の上昇、3日連続の最高値更新というまれな記録を相次いで生み出した。株価上昇の余力は依然として大きいという価格面でのメリットや、米国の金利引下げ、中国など海外証券市場の好調、ファンド資金の流入など、豊富な流動性などが株価の上昇を導く原動力となった。
しかし、これを逆に解釈すれば、韓国の証券市場ではこのような好材料が今後、追加上昇を妨げる不安要因となりうるという指摘も出ている。
●もはや価格面でのメリットはない
韓国証券市場を導く代表的な要因は、投資家たちにとって魅力と映った「安い価格」だ。しかし、専門家たちは今年に入って、30%以上値上がりした韓国株価はもはや安くないと指摘する。
コスピ200銘柄の株価の収益比率(PER)は16.8倍、今年上半期の半期実績を適用すれば15.7倍で、先進国平均(15.7倍)と同じか、割高だ。
韓国市場のPERはここ2年間、11倍前後だった。PERとは、株価を1株当たりの純利益で割ったもので、数値が低いほど株価が低く評価されたことを意味する。
韓国の株価が過大評価されたかどうかについては、相互に異見があるが、少なくとも、実績外のことで価値が低く評価される「コリア・ディスカウント」はもはやないというのが、証券市場での一般的な評価だ。
●中国証券市場が暴落すれば、あおりを受ける可能性も
韓国の証券市場は中国やインドなど、アジア新興市場の同伴上昇や造船、鉄鋼など、中国関連株の上昇のおかげで成長した。このため、中国証券市場などの今後の動きは、韓国の株価の流れに大きな影響を及ぼしかねない。
中国証券市場はPERが30倍近く、インドの証券市場も24倍にもなる。中国上海や深セン証券市場の主要銘柄を指数化したCSI300指数の銘柄だけで計算すれば、PERは40倍以上となる。株価の値上がり速度が速すぎて、来年8月の北京五輪が終われば、「バブル論」が取りざたされるだろうという展望も出ている。
もし、これらの市場の株価にバブルが入っていることが判明し、そのバブルが早いスピードで崩壊すれば、韓国証券市場もともに暴落する可能性を排除できない。
韓国投資証券の金ハキュン研究員は、「一般的にPERが20倍を超えればバブルと見なされるが、かつて、日本では50倍近くまでいったこともあり、どこまでをバブルと規定するかは定かではない」とした上で、「バブルが怖いのは、このようにいつはじけるか分からないところだ」と語る。
●物価上昇の圧力や景気減速の兆し
先月、米国の金利引下げは、世界金融市場で投機心理を好転させたものの、ドル安や原材料価格の引き上げを招いた。中国でも景気過熱を懸念した当局が、緊縮財政に乗り出すだろうという分析が少なくない。世界経済のインフレーションの可能性は、いつでも証券市場の足かせとなりうる。
三星(サムスン)証券の金ハクジュ・リサーチセンター長は、「各国の政府が通貨の買戻しについて悩む時期になれば、株式などの資産価格は急落する以外にない」と説明する。
景気上昇の勢いが減速する兆しを見せているのも変数だ。ハナ大投(デトゥ)証券の金永翊(キム・ヨンイク)副社長は、「8月の景気先行指数は、昨年同月より7.4%上がったものの、自社内で分析した9月の指数は、7.2%上昇にとどまった」とし、10月末か11月初めに株価の調整があるだろうと予想する。
●流動性による株価引き上げの限界
韓国の証券市場はファンド資金など、豊富な流動性が支えてきた。これを逆に解釈すれば、流動性が減ることになれば、上昇の勢いにブレーキがかかることを意味する。
4日連続の上昇の勢いを見せた8日から11日まで、コスピ指数は62.82ポイントが上がった。同期間、株価の値上がりした銘柄は366、値下がりした銘柄は497だった。上昇銘柄が下落銘柄より少ないことは、資金の余力が一部の銘柄に集中したことを意味する。
大信(テシン)証券のソン・ジンギョン市場戦略チーム長は「下落銘柄は多いまま、指数が上がる現象は、市場の体力が弱まり、外部の悪材料に対し脆弱になったことを意味する」と指摘する。
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