金章洙(キム・ジャンス)国防部長官は盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領を遂行して南北首脳会談に行ってきた直後、「西海北方境界線(NLL)を守り抜いたのが首脳会談の成果だ」と述べた。ところが、盧大統領はわずか数日後、「NLLは一方的に引いた作戦禁止線なので、領土線と言えば国民を糊塗すること」と述べた。11月、平壌(ピョンヤン)で行われる南北国防長官会談を控えて、大統領と国防長官の認識がこれほど違うから、NLLの運命が果たしてどうなるのか国民は不安だ。
大統領の言葉はNLLの南側の海を我々の領土と主張できないという意味として解釈される余地が大きい。北朝鮮のNLL再設定の要求を受け入れようとしている意図なら、さらに大変だ。金長官は国会で、「NLLは実体のある領土の概念」だとして、NLLが軍事境界線155マイルの延長である軍事境界線であることを明確に示した。
大統領が考えを変えなければ、長官が所信を捨てなければならないところだ。長官が所信を捨てると、結局、NLL譲歩を前提に南北国防長官会談をしなければならないということになる。
盧大統領は憲法上、韓半島全体が大韓民国の領土なのでNLLは領土線でないというふうに述べた。そのような論理なら、大韓民国の大統領が北側の誰かと会ったのも、南北首脳会談になりえない。憲法の宣言的領土条項とは違って、韓半島には厳然に体制の違う二つの国が存在している。両国は軍事的主敵の関係に置かれている。従って、NLLは明確な境界線であり領土線である。
1991年南北基本合意をまとめる際、韓国側代表を務めた李東馥(イ・ドンボク)元国会議員は、海州(ヘジュ)港における民間船舶の直通行、西海平和協力特別地帯および南北共同魚路区域の設定が推進される場合、北朝鮮はNLLを無力化する絶好のチャンスを迎えることになると警告する。京畿(キョンギ)大学政治専門大学院のナム・ジュホン教授も、「軍事問題は信頼の構築を最優先にし、最後にNLLのような不可侵領域の問題を取り扱うのが正常だ」とし、国防長官会談そのものに否定的な見解を示した。
金長官はNLLに対する当初の所信と違って、大統領を意識して曖昧な態度を見せる気味もある。金長官が南北国防長官会談で我々の安保と直決するNLLの無力化を助ければ、大韓民国の国防長官として拭いきれない間違いを犯すことになるだろう。