大統合民主新党の鄭東泳(チョン・ドンヨン)大統領候補は21日、ハンナラ党の李明博(イ・ミョンバク)大統領候補に、「今回の大統領選挙で、『価値』と勝負しよう」と述べ、「価値論」を取り上げた。
鄭候補は同日、ソウル永登浦(ヨンドゥンポ)の党本部で記者会見を開き、「価値論争は古いイデオロギー論争とは違うものだ。それは、わが国の社会がどこへ進むべきかを模索するためのものだ」と主張した。
▲「イデオロギー」ではなく「価値」を強調〓氏は「この論争を通じて審判を受ける」とし、△李候補と自分の「最後までの討論」や、△市民と1000人の陪審員が参加する大統合民主新党とハンナラ党との政策専門家討論会などを提案した。
鄭候補はホワイトボードに自ら字を書きながら、△幸せな家族、△幅広い機会、△差別のない成長、△社会的弱者や少数者を抱擁する統合、△南北平和を自ら追求することを、「5大価値」と規定した。
鄭候補は、「新しい価値」を掲げて庶民や弱者を代弁する一方、李候補は「古い価値」に固執し、少数の「金持ち」の肩を持つという認識を植えつけるようという戦略だ。選挙の構図を、「金持ちVS貧乏」へと持っていき、はっきりした焦点を作り出しながらも、「空虚なイデオロギー論争を繰り広げる」という批判は避けるという計算だ。
李候補が「政権の座につけば、金融・産業の分離を緩和する」と語ったことについて、鄭候補は同日、「李候補が大統領になれば、財閥が銀行を所有することになる。財閥が諸手をあげて歓迎するのは当たり前だ」と、対立意見を述べた。
崔載千(チェ・ジェチョン)スポークスマンは、「価値とは、すなわち政策だ。今後、下部の政策が相次いで出るだろう」とした上で、「すでに、『金融・産業の分離』や『07年の南北首脳宣言』の遵守問題で、政策の違いが明らかになっている」と述べた。
▲「現政府の政策と差はない」という批判も〓しかし鄭候補が主張する「5大価値」について、「ここ5年間、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府が推進してきた価値と何が違うのかさっぱり分からない」という批判も出ている
これに対し鄭候補は、「盧武鉉政府も、弱者や少数者への配慮、幅広い機会の提供のため努力してきたが、それには限界があった」とした上で、「方向は正しいが、バブル成長や景気後退などの初期環境に圧倒された側面がある」と説明した。
鄭候補は同日、「5大価値」実現のための戦略として、中小企業大国、南北経済協力、大陸経済推進などの「5大戦略」と、韓国社会の問題点として、大企業と中小企業・自営業者の格差など「5大差別」を示した。
鄭候補は昨年、ヨルリン・ウリ党の議長時代には、韓国社会の問題点として、所得や教育、雇用の場、企業、南北問題での二極化の「5大二極化」と、この解決のための「6大注力課題」をキャッチプレーズとして掲げたことがある。今年7月、大統領選挙に出馬し、中庸の政治や中間層の時代、中小企業大国論の「3中論」を掲げ、「中統領」という造語を作ったこともある。
一方、鄭候補は、「党と選挙対策委員会が別々の道を歩む理由も、余裕もない」とした上で、「一元性選挙対策委員会」への構想を明らかにした。
鄭候補側ではまた、国民の政策提案を、「幸福郵便局」で受付、「幸福貯蓄銀行」に保管した後、これを選別して公約とする、「幸福プロジェクト」も推進していると明らかにした。
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