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「動物的な世の中で植物になりたかった」

「動物的な世の中で植物になりたかった」

Posted November. 02, 2007 07:05,   

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作家の韓江(ハン・ガン)氏(37)は、大学時代に『李箱(イ・サン)全集』を読んでいる時、ある文章に目が止まった。「私は人間だけは植物でなければならないと思う」。明白に動物である人間について、この天才はどうしてそう願っただろうか。韓氏は李箱が属した時代を描いてみた。先が読めない植民地時代。暴力的な世の中で生きるしかなかった敏感な文人李箱は、人間が植物であることを願った。

攻撃、争奪、弱肉強食、腐敗…。世界の暴力を象徴する単語はすべて動物に属したのだ。韓氏は連作小説『菜食主義者』(創批)を通じ、この動物性に全力を尽くして抵抗する。先月31日に会った韓氏は「肉を食べて食べさせる世の中の本質が何かを、極限まで見せたかった」と明らかにした。そういえば、韓氏が新しい小説を発表して5年ぶりだ。息子を育てて教授(ソウル芸大の文芸創作科)として、学生たちを教えながら慌ただしく過ごした時間だ。

韓氏は、「連作のうち『菜食主義者』と『蒙古斑点』は、コンピューターで書く代わりに手で書いた」と話した。指の関節が痛くて、コンピューターのキーボードを打つことができなかったからだ。その後は手首が痛くて手を使うことができなくなったし、2年余りが経ってやっとコンピューターの前に座った。ボールペンを逆に握って、キーボードを打った。

「『珍奇銘記』に出ても良いという話を聞くほど、早く打つようになりました」

連作『木の花火』はそうして書いた。今は再び指でキーボードを打つことができるが、連作三本が束ねられた『菜食主義者』は、韓氏が経験した身の苦痛がそのまま盛り込まれた作品だ。

『菜食主義者』は肉食を拒む女性、ヨンヘに関する話だ。父親が強制にヨンヘの口に肉を入れようとすると、ヨンヘはその場で手首を切る。引き続き、連作『蒙古斑点』ではヨンヘの義理の兄であるビデオアーティスト「私」は、その間取り組んできたビデオ作業に幻滅を感じ、新しい作品を夢見ながらヨンヘをモデルに立てる。『木の花火』で精神病院に入院したヨンヘの面倒を見るお姉さんインヘは、木の枝になるという妹を見守りながら胸を痛める。

植物になることを選ぶ女を描くほど、韓氏に世界は爆圧的だ。「二度の世界大戦を経験しながら『人間的』という言葉は悪口になったという話があります。一方では神聖さを仰ぎながら、他方では殺戮を犯すのが人間です。私は1980年代の最後の学生であり、光州(クァンジュ)が故郷で1980年代の暴力的状況を体験しました。その時代は過ぎたが、依然としてどこかで戦争が続いており、殺人が暴行が起きます。このような世の中で、人間になりたくない人間の話を書いたんです。」

そう言いながら作家は、作品を通じて読者に「あなたは血の流れる人間として生きたいのか」と問う。

連作のうち『蒙古斑点』は2005年李箱文学賞の受賞作だ。受賞作品集が出ながら契約期間に縛られ計画した連作を2年前に完成しておいたにもかかわらず、本として出すことができなかった。「この子(『蒙古斑点』)が、そんなに長い間一人ぼっちになるとは思いませんでした。もうもとの所に合わせておくことができるようになりました。」という。

しかし、作品を「この子」と親しみを持って呼ぶ、作品を終わらせればその作品のように生きたという感じのために力が抜けるという作家は、「あまりにも書きたい気持ちのためにまたコンピューターの前に座るようになる」と笑った。小説家の韓勝源(ハン・スンウォン)の娘ではなく、いち早く「作家の韓江」としてもっとよく知られた彼女。「植物性に関する話は十分話したと思うので、他の素材を探す」と、淡々と、しかしきっぱりと言葉を結んだ。



kimjy@donga.com