中国政府が外貨準備高に占める米ドルの比率を落とし、ユーロなど他の通貨の比率を高める方針であることをほのめかした。
ドル安を受け、他の国々でもドル保有を減らしている状況の中で、世界一の外貨保有高を持つ中国がドル資産の比率を落とせば、ドル安が加速し世界経済、および韓国経済にも少なからぬ負担として働く可能性が高い。
東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(韓中日)首脳会議参加のためシンガポールを訪れている中国の温家宝首相は19日、シンガポール財界の著名人たちを対象にした講演で「ドル安で保有している外貨資産の価値維持に苦労している」と述べた。
温首相は「保有外貨の規模が小さかった時には大きな圧力にならなかったが、今のように膨大な外貨資産を保有している状態では資産の効率的な運用が非常に重要になっている」とした。
多くの専門家たちは同日の発言を、中国政府が外貨政策のドル偏重を改め、現在保有しているドルを売り、ユーロや日本円などの比率を高める方針であることを示唆したものと受け止めている。
今年9月末現在、中国の保有外貨は1兆4336億1100万ドル。その75%をドルに、20%をユーロに、5%を円などのその他の国の通貨に振り分けている。
中国政府がドル基軸の外貨政策を正式に改めた場合、ドル安をあおり、グローバル経済に連鎖的な影響を与えるのは必至とされる。
ドル安がさらに進めば、円キャリートレードなどの外国資金が米国から流出し、サブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)の焦げ付きが発端となった米国の信用リスクのさらなる悪化を招くものと予想される。
ドル安と米景気の落ち込みは対米依存度の高い韓国経済にも、ウォン高による輸出競争力の低下や経済成長の鈍化、金融市場の不安悪化につながる可能性が高い。
ノーベル経済学賞を受賞した米コロンビア大学のジョセフ・E・スティグリッツ教授(経済学科)は最近「外貨保有のドル離れがさらなるドル安を招く」と話していた。
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