タイムマシーンと時間旅行(タイムスリップ)という揮発なネタで変わり者の科学者と高校生の冒険とスリルを描いた映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で、主人公のマーティー(マイケル・J・フォックス扮)が未来へ行くシーンがある。悪党に追われていたマーティーは数秒後、天気がどう変わるか予め知っていたおかげで、困難な状況から抜け出ることができる。未来では天気予報が秒単位で可能だと仮定した内容だ。しかし、このようなことは起きられない。性能が長けているスーパーコンピューターでもタバコ1本から出てくる煙がどこへ広がるか正確に予測できない。
◆500億ウォンのスーパーコンピューターを2台も保有している気象庁の予報は、以前と比べると正確度は向上しているものの、今も誤報を出すことがは少なくなく、国民が不便を強いられるケースがしばしばある。気象庁は今年初め、頻繁な誤報に対して国民に謝罪した。昨年は奇襲黄砂を予測できず、産業界に大きな被害をもたらした。今年は大雪と冷え込みの予報が外れた。寒くて雪が降るという予報を信じて、週末のお出かけの計画をキャンセルした市民たちは、暖かい春の天気になると気象庁に騙された気持ちになった。
◆気象庁の一部の職員が、納品業者と一体となって低層観測に不適格な高層気象観測装備を買い入れて、書類を「適合」に操作した事実が明らかになった。この装備は電波の信号もまともに受信できない不良品だった。高位職が部下の職員に特定業者の製品を購入するように強要し、言うことを聞かないと人事上の不利益まで与えたという証言まで出てくる。天上を観察する気象庁の人も、地上の「お金になるもの」にさらに関心が高かったせいなのか。
◆天気予報が正確であるためには、精巧な数値モデルとこれを運用するスーパーコンも重要だが、数値モデルに代入される気圧、気温、風速など正確な観測データーがカギとなる。独自の気象衛星の必要性を強調しているのも、質の高い観測資料を生産するためだ。スーパーコンピューターが10台あっても、そもそも入力される情報が不十分であれば、間違った答えが出てくるしかない。天気の情報は経済活動と産業の安全にも多大な影響を及ぼす。「天気不正」は晴れたり曇ったり、また雨や雪が降るかに応じて生活計画を変える、多くの国民に対する裏切りだ。
鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com