今年10月、インドのバンガロールで開かれた米国情報技術(IT)企業、シスコ・システムズの未来の新技術の発表現場。
社会者1人だけだった舞台に、突然、ほかの人たちが登場した。舞台を見守っていた観客たちは、驚きの声を上げた。
舞台に登場した人たちは、インドから1万3000キロも離れた、米国カリフォルニア州のシスコ・システムズの米国人たち。彼らは同日シスコシステムズが披露した3次元(3D)、「オン・ステージ・テレプレズンス(TelePresence=遠隔装置)」という3Dホログラムの映写技術を通じ、インド・バンガロールの舞台に現れたのだった。
3Dは、テレビ画面や絵画のような平面的な2次元映像とは異なって、実物のように立体感や体積を感じることのできる映像手法を指す。
インターネットでの画像会議システムに3D技術を取り入れたこの次世代サービスは、地球の反対側にいる人の姿もすぐ目の前にいるかのように、実物と同様のサイズで立体感を実現する。
●オンライン・ビジネスに活力を吹き込む3D
3D立体技術がビジネスと出会って新たな世界を切り開いている。さまざまなオンライン事業や医療の遠隔診療など、多様な分野と積極的に結合している。
遠隔映像会議関連業界では現在、インターネットやテレビ画面を通じて、2D水準のサービスだけを提供している。しかし、今後3D技術を取り入れれば、グローバルビジネスやコミュニケーションの質を革新的に向上できるものと期待している。
新世界(シンセゲ)デパートでは今年の夏から、売り場で試着しなくても、自分の体のサイズと同様の3Dアバタ(仮想人物)に服を着せてみて購買できる、「3D仮想試着サービス」を開始した。このサービスが普及すれば消費者たちは試着しなくてもすみ、オンラインでの衣類の流通が活性化されるものと見られる。
未来の有望産業である医療においても3D技術は有効に使われる。代表的な例が、歯科でインプラント手術の際に活用する3D映像化のソフト。
慶熙(キョンヒ)大学歯科学部のチェ・ヨンソク教授は、「インプラント手術をあらかじめ、仮想でシミュレーションすることができ、インプラントを植えつける正確な位置や神経の分布が把握でき、手術の精度がさらに高まる」と話した。
●3Dの活用分野は限りない
3Dの映像化技術は脊椎手術や心臓運動の研究、骨密度の測定などで、幅広く使われている。映像製作などに3Dグラフィックを活かしてきたエンターテインメント業界では、これを再生する機器まで3D実現に合わせて開発している。
ケイディ情報通信は、画面だけでも3D映像を楽しめる次世代モニターや3D立体映写機を、最近、開発した。かつてのように、別途に専用めがねをかけなくてすむようになる。
同社では最近、CGVなど、国内の各映画会社と相次いで供給契約を結んだのに続き、ディズニーやワーナーブラザースなど、米国会社とも製品供給に関する話し合いを行っている。
最近開催された、「Gスター」ゲームショーでは、実際のような遠近感を感じられる次世代3D立体映像ゲーム機が多く紹介されるなど、ゲーム業界でも3D技術に高い関心を示している。
金泰燮(キム・テソプ)ケイディシ情報通信会長は、「3D技術は今後、映画のみならず、携帯電話やウルトラモバイルパソコン(UMPC)などにも適用できるだろう」と語った。
三星(サムスン)電子は04年、2.22インチの3Dディスプレーを開発したのに続き、今年は3Dデジタル光学技術(DLP)テレビを北米市場で披露した。また、3D立体映像機能を実現した国内初の携帯電話「デュアルDMBフォン」を7月に発売し、若い消費者たちから大きな関心を集めた。
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