首都圏埋立地管理公社では先月、国内初の「生ごみ処理施設(MBT)」の入札を実施した。
政府のモデル事業だったにもかかわらず、大宇(テウ)やハンファ、ロッテ、ハンラなど、多くの主要建設会社が入札に参加し、工事関係者たちを驚かせたという。結局、激しい競争の末、事業権はテヨン建設、ポスコ建設、SK建設のコンソーシアムに渡った。
MBTは、生ゴミから燃える廃棄物を選り分け、固形燃料(RDF)を作ったり、食べ物から、「バイオガス」を抽出したりすることから、従来の埋立地とは違う。
首都圏埋立地管理公社の金ジョンシク支援事業チームは、「固形燃料やバイオガスは、再びエネルギー源として使われる」とし、「政府はMBTを拡大する計画であり、大企業では新規事業に関心を示しているもようだ」と話す。
ゴミが「第2のエネルギー」として生まれ変わっている。「廃棄物エネルギー産業」が原油高やさまざまな環境規制で加速している。
●ゴミの「復活」…昨年、国内初の固形燃料生産
「廃棄物エネルギー」とは、これまで焼却炉や埋立地に送っていた家庭(生ゴミ)や事業場(産業廃棄物)のゴミを、石炭や石油のようなエネルギーに変える事業をさす。
昨年、国内で初めて生産された固形燃料が、代表的な廃棄物エネルギーだ。ゴミの中から、加熱性のプラスチックや木材などに「少し」加工を施して作ったものだ、発電所やセメント工場などで燃料として使われる。最大火力(熱量)は、無煙炭と同レベルだという分析もある。
環境部・資源循環局の金ビョンフン事務官は、「固形燃料生産施設であるMBTを、現在の1日80トンの規模から、12年までに1200トン規模に増やす計画だ」とし、「そうなれば、年間最大1500億ウォンの節約が可能」と語る。
欧州や日本などでは、韓国に先立ってMBT活用の度合いが拡大する傾向を見せている。1999年、欧州連合(EU)が、「埋め立て指針」によって可燃性物質の埋め立てを抑制し、EUの固形燃料生産量は、00年の138万トンから05年は1300万トンへと急増した。
焼却場でゴミを燃やすときに出る廃熱で、電力や温水を生産して販売する事業も活発になっている。
コーロン建設の李龍鉉(イ・ヨンヒョン)取締役は、「全国の生活廃棄物焼却場が外部販売する『電力や熱の供給額』は、01年の約77億ウォンから昨年は約600億ウォンに増加した」とし、「かつては、生産コストに比べ電力価格が安く、廃棄処分されたスチーム(廃熱)の活用価値が、原油高で高まったものだ」と説明する。
●各企業、「ゴミは金…環境市場はブルーオーシャン」
国内の各企業でも、ゴミ処理施設や水処理施設など、環境市場の先制のため、積極的に参入している。実際、環境部では今年、首都圏の埋立地に初めてMBTを着工したのにつづき、12年までに8ヵ所以上に拡大する計画を立てている。
テヨン建設サイドでは、「国内住宅建設部門は頭打ちの状態だが、環境市場は可能性に限りがない」と期待を示す。
ポスコも先月、釜山(プサン)の生ゴミから作った固形燃料で電力を生産する事業に進出した。ここから、約4万世帯が使用できる電気が生まれるという分析も出ている。
ポスコでは、「釜山市から、年間200億ウォン規模の生ゴミ処理費用を受け、発電設備で年間約170億ウォン利益が上がるとみている」と語る。
さまざまな国際環境規制も、各企業の廃棄物エネルギー事業への進出をあおっている。
韓国は京都議定書を受け、13年から温室効果ガスの義務削減対象国となる可能性が高く、各企業では環境事業で温室効果ガスを削減した実績の分だけ、「温室効果ガスの排出権」を確保できるためだ。
SKエネルギーは、蔚山南区(ウルサン・ナムグ)の城岩(ソンアム)埋立地に、温室効果ガスのひとつであるメタン(CH)の回収施設を稼動し、年間4万〜5万トンの温室効果ガスの削減実績を上げていることがわかっている。
ポスコも、釜山のゴミ処理施設事業で、年間約12万5000トンの温室効果ガス(二酸化炭素)を確保できることになった。
国内の地方自治体でも、ロンドン協約を受け、来年8月から11年にかけて、下水処理施設から出る有機性汚泥を、周辺海洋に投棄できなくなる。
コオロン建設の李龍鉉取締役は、「多くの自治体で有機性汚泥でのバイオガス生産施設作りを推進している」とし、「施設交替事業に多くの企業が参入している」と話す。
金ビョンフン事務官は、「今は固形燃料を生産しても、『ゴミ』への先入観のため、需要はあまりない」とした上で、「廃棄物エネルギーの質を均等に保つことも重要だ」と話す。