2003年12月にこの世を去った虚舟・金潤煥(ホジュ、キム・ユンファン)は、韓国政治史に残る「キングメーカー」だった。2人の大統領(盧泰愚、金泳三)と1人の大統領候補・李会昌(イ・フェチャン)を作りあげるのに決定的に貢献したためだ。しかし、代表的第5、6共和国(全斗煥、盧泰愚政権)の政治家だった彼は、2000年の第16代総選挙で、李会昌ハンナラ党総裁(当時)のいわゆる「改革公認」に押し出され、「入れ替え」にあった。虚舟は、「裏切られた衝撃」から脱け出せず、ついに癌でこの世を去った。李会昌氏は、闘病中の虚舟を見舞って謝罪したが、何の返事も聞くことができなかったという。
◆昨年のハンナラ党の大統領選候補を選ぶ党内選挙で、朴槿恵(パク・クンヘ)陣営の座長格だった金武星(キム・ムソン)最高委員が3日、「入れ替えという言葉は人格に対する侮辱だ」と言って憤った。党の一部では、4月の総選挙を控えて「現役議員を大幅に入れ替えなければならない」という主張が出ていることへの反応があった。公認脱落が政治家に与える衝撃を考えれば、理解できなくもない。しかし、総選挙のたびに40%内外の現役議員や地区党の委員長たちが公認から脱落する。表現が多少侮辱的であるためだろうが、入れ替えは政治刷新を望む国民の要求であり、政党の選挙戦略である。
◆金容甲(キム・ヨンガプ)ハンナラ党議員が3日、総選挙不出馬を宣言した。金議員は、「当選3回の名誉除隊を届ける」というタイトルの報道資料で、「拍手を送られる時に去る」と述べた。陸士17期の金議員は、第5共和国の国家安全企画部企画調整室長、第6共和国の総務処長官を歴任し、1996年に国会に進出した。金議員は、「金大中(キム・デジュン)政府は、朝鮮労働党2中隊」、「鄭東泳(チョン・ドンヨン)は朝鮮労働党統一長官」などの発言で「熱血保守」と言われたが、「元祖保守」としての所信を守ったという評価もある。
◆流れた水では水車を回すことができない。公認が即当選である地域に長く安住してきた政治家なら、入れ替えの侮辱にあう前に美しい後姿を見せるほうがいいのではないか。ところで、大統領選惨敗の責任問題で連日騒がしい大統合民主新党や民主党では、なぜ総選挙不出馬や政界引退を宣言する議員が一人もいないのか。やはり責任不感症のせいか。
権順沢(クォン・スンテク)論説委員 maypole@donga.com