盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は、残り任期1ヵ月弱の28日、記者会見を通じて李明博(イ・ミョンバク)大統領当選者が国会に提出した政府組職再編案を批判し、拒否権行使を示唆した。
一方、李当選者は任太熙(イム・テヒ)秘書室長を通じて盧大統領に逆に「理解」を求めるメッセージを送った。「けんか」をしかけられたが、丁寧に断った格好だ。
李当選者と盧大統領は、昨年の大統領選挙戦の間も、対立する状況が少なくなかった。しかし李当選者はそのたびに「無視」と「礼遇」を交互に使いながら、現職大統領との対立は避けた。これについて李当選者の周辺では、「李明博だけの盧武鉉対処法」と言われている。
▲人を憎まず〓李当選者は06年7月に大統領選レースに飛び込み、自分なりの原則を決めたという。「現職大統領と対立しない」ということだ。現職大統領と対立した大統領選候補は次期大統領に当選した例がないという点を李当選者は誰よりもよく知っていたのだ。
盧大統領は06年11月、閣議で、「任期を全うできない大統領にならなければいいが」と述べ、自分の進退について言及した。就任直後の03年5月の「大統領をやってられない」という言葉を皮切りに、任期関連の発言は毎年繰り返された。
李当選者は、盧大統領の発言を聞き、「恐らく気分を害してそう言ったのだろう。こういう時はじっとしていなければならない。自分の心情を言っただけなのだが…。人間盧武鉉氏の言葉だと理解すれば、そのように言えるのではないか」と述べた。
▲大統領と対立するな〓盧大統領が過激な表現で批判しても、李当選者は節制された表現で短く応える方だ。
盧武鉉大統領は28日に続き29日も、「政府組職を再編すれば、福祉支出に大きな打撃を与えるのではないかと憂慮される」と政府組織法改正案を重ねて批判した。
盧大統領は同日、大統領府で行われた老人代表を招いた昼食懇談会で、「地域均衡予算、貧しい人と社会的弱者のための予算も風前の灯火の危機に直面している」として李当選者の「小さな政府論」を批判したが、李当選者は特に反応を示さなかった。
盧大統領は今年1月の新年会で、「これでは教育津波が来るのではないか」、「大型の土木工事をひとつすれば、韓国経済が活性化するのか」など、総1時間20分の行事の中で52分を李当選者の政策批判に割いた。
しかし、李当選者は反応を示さなかった。ただ朱豪英(チュ・ホヨン)報道官が「李当選者は選挙過程でいくつかの公約を出し、国民はその公約を見て530万票という圧倒的な票差で支持した」とだけ述べた。この発言には約10秒しかかからなかった。
盧大統領は昨年6月、円光(ウォングァン)大学から名誉博士学位を授与された後の講演で、「今心配されることの一つが、今日の(名誉博士)学位授与場を見ると、『ミョンバク(名博、名誉博士の略)』と書いてあったが、私が『盧ミョンバク』になるのかと思うと…。いずれにせよ李明博氏が『盧ミョンバク』ぐらいにうまくやってくれれば大丈夫。いや、そうじゃないですね。あなたより私の方がましですね。私に劣らずうまくやってくださいよ」と言って皮肉った。
これについて当時、李当選者は、「(盧大統領は)このくらいにして、ご自分の業務に忠実に務めておられるほうがいい」とだけ述べた。大統領職引継ぎ委員会が大統領府から業務報告を受けていないのも、盧大統領との対立を避けようとする李当選者の考えが込められているという話しだ。
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