中国が「自分で使うぶんもない」として3月まで石炭の輸出を中止したため、発電やセメント業界は窮地に追い込まれている。輸入石炭の20%を中国に依存しており、在庫は1ヵ月分しかなく、事態が長引けば、工場の稼動を中止せざるをえない状況だ。中国の石炭抽出中止は、大雪による輸送難が直接的な原因となったが、世界的なエネルギー不足を実感させられる出来事だ。
世界は銃声のない資源確保戦争を繰り広げている。石油や天然ガス、ウランはもとより、鉄鉱石や石炭、ニッケルのような希少資源の確保戦にもしのぎを削っている。中国やインド、東ヨーロッパが工業化の列に加わり、世界の資源を吸収するブラックホールとして登場し、資源の需要は急増している。資源の97%を輸入に頼っている韓国にとって、金があっても資源を買えない事態になれば、それこそ深刻な事態だ。
資金力のある国が富裕国なのではなく、資源を持つ国が大手を振るう資源覇権の時代だ。社会主義の崩壊で、3流国家に転落したロシアは、天然ガス埋蔵量で1位、原油埋蔵量では世界6位というエネルギー資源のパワーで、世界の舞台で大国としてのプレゼンスを回復している。周期律表上のほとんどの化学元素を持っているといわれているカザフスタンのプレゼンスも一段と高まっている。
中国は豊富なドルを利用して油田を積極的に買い付け、胡錦濤国家主席や温家宝首相はみずから産油国を歴訪し、エネルギー確保のための資源外交を展開している。韓国も、エネルギー外交の舞台を全世界に広めるべきだ。にもかかわらず、李明博(イ・ミョンバク)大統領当選者の4大特使のうち、唯一、ロシア特使がプーチン大統領と面談できなかったことが気にかかる。対ロ外交が円滑ではないという証拠ではないか。
韓国は世界4位の石油輸入国であるが、国内外で開発・確保した原油やガスを国内消費量で割った自主開発率はわずか4%だ。フランス(95%)やイタリア(51%)、スペイン(46%)、日本(15%)には遠く及ばない。韓国の資源開発企業の埋蔵量確保率は、世界的なエネルギー企業に比べ、足元にも及ばない水準だ。われわれにもメジャー級の資源開発企業が求められている。
幸いなことに昨日、韓国石油公社や三星(サムスン)物産が、米国メキシコ湾やアフリカのコンゴで総埋蔵量9000万バレル規模の史上最大生産量の油田買収に成功したというニュースが届いている。非常に喜ばしい話だ。次期政府は各企業の海外資源開発事業への投資を外交や財政の面で積極的に支援しなければならない。