權五乘(クォン・オスン)公正取引委員会(公取委)長の任期は来年3月までだ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が与えた任命状に3年間の任期が明記されている。権委員長は進退についての気持ちを明らかにしていないが、法律で保障されている任期を全うするのが理にかなうというのが、公取委内部の意見だ。しかし、外部では権委員長は任期を全うできないと思っている人が多い。次期委員長候補をめぐってのうわさでもちきりだ。
◆公取委員長の任期を保障するのは、特定政権に気兼ねせず、任期の間、「法律を通じて、国民から委任された」業務を、所信を持って処理せよという意味だ。ところが、権委員長は国民や市場の期待に背き、本来の業務から離れて企業への締め付けやマスコミ批判を先導してきた。公取委は、新聞社の零細な田舎の支局にまでくまなく課貯金を課した。特に、批判新聞への嫌がらせに公取委の行政力を大々的に動員したのは、「盧武鉉コード」への奉仕であり、公取委の本来の業務に専念するためのものではなかった。そのように振舞った人が、いくら官職がいいからといって、今後は、「李明博(イ・ミョンバク)コード」に合わせて変身でもするという意味だろうか。
◆監査院長や検察総長、警察庁長、金融監督委員長などを任期制にしたのも、公取委員長と同様の趣旨からだ。盧大統領は李明博次期大統領に向けて、「任期の残っている公職者は、任期を守ってあげるのが道理だ」と話した。しかし、盧大統領は、前任者が任命した任期制公職者の任期を無視した張本人でもある。 金珏泳(キム・ガクヨン)当時の検察総長は、盧大統領が就任直後、「現検察の首脳部は信用できない」と発言すると、就任からわずか4ヶ月で辞表を提出した。金大中(キム・デジュン)前大統領の時に任命された李南基(イ・ナムギ)公取委員長も、任期を約5ヶ月残して、 盧政府の発足とともにその座から降ろされた。金政府と盧政府とはイデオロギーが似ていたにもかかわらず、あの有様だった。しかも今度は、左右派の政権が交替した状況だ。
◆「ビジネスフレンドリー(Business Friendly)」を掲げる次期政府で、規制体質塊の人物が引き続き公取委員長の座についていては、市場ではとんでもない混乱が生じかねない。現政府と次期政府の哲学ははっきり違うことを権委員長もすでに承知しているはずだ。彼が示してきたコードは、新時代には向いていなかった。
朴元在(パク・ウォンジェ)論説委員 parkwj@donga.com