自動車の窓ガラスを濃く塗るサンティングは英語辞典に出ない国籍不明の用語、いわゆる韓国語だけで使われる英語だ。「色を加える」という意味の英単語ティント(tint)とウィンドー(window=窓)を合わせたウィンドーティンティング(window tinting)が正確な表現だ。最初はプライバシーに敏感な一部芸能人や政治家が多く使用したが、最近はサンティングをしてない車を探すほうが難しいほどだ。正確な統計はないが、現在運転されている乗用車の70〜80%がサンティングした車だと推定される。
◆運転手が少なくないお金をかけてサンティングをするのは、私生活の保護と日差し遮断の效果のためだ。サンティングが直射日光と紫外線を遮断し運転手の肌を保護するという事実は科学的に裏付けられた。夏季には車の内部の温度上昇を防ぎ、エアコン效率を高めて燃料消耗を減らす。乗用車の内部も一種の私的空間という点を考慮すれば健全な風俗に顕著に違背されない限り、プライバシーの保護を受けるという欲求が規制されなければならない理由もない。
◆警察は濃いサンティングが交通事故を誘発することがあり、犯罪に悪用される可能性があるという点を挙げ、サンティング車を取り締まった。既存の道路交通法は「10m距離で肉眼で乗車した人を識別できないほどのサンティング」を取り締まりの対象に規定してある。しかし、取り締まりの基準が曖昧で過度に恣意的という批判が出ると、2005年に問題の条項を「自動車の横面と裏面の窓ガラスの可視光線透過率が40%未満の場合」に変えた。今年6月から新しい条項による取り締まりが始まる予定だが、一線の警察官らは運転手とのいざこざに疲れ、取り締まりを躊躇う雰囲気だ。
◆この頃はサンティング技術が進み、外からは自動車の中が見えなくても自動車の中からは外がよく見える。犯罪と直接関連がなければ、警察官が他人の家の奥座敷のように自動車の中を覗いて見る必要はない。法制庁は大統領業務報告で現実に合わない法令で国民が日常生活で不便を感じる代表的事例に自動車窓ガラスのサンティングの濃度規制を挙げた。事実上、死文化した上に效果も明確でない規制であるだけに、関連条項を速やかに廃止するのが正しい。サンティングだけではない。周りをよく見れば無くてもいい規制があちらこちらにある。
朴元在(パク・ウォンジェ)論説委員 parkwj@donga.com