三星(サムスン)裏資金疑惑を捜査中の趙俊雄(チョ・ジュンウン)特別検察官(特検)チームは15日午後、捜査チームの最後の会議を開き、起訴の対象者や刑事処罰のレベルを暫定的に決定し、捜査結果の発表文の作成に取り掛かっている。特検チームの捜査は事実上終結するもようだ。
特検チームは同日の会議で、李健熙(イ・ゴンヒ)三星グループ会長に対して、3兆ウォン台の系列会社の借名株式を保有したまま、1500億ウォン以上の株式の譲渡税を払っていない容疑(特定犯罪加重処罰法上の租税逃れ)で在宅起訴する方針を固めた。李鶴洙(イ・ハクス)副会長や金仁宙(キム・インジュ)社長は、李会長と共謀した容疑で、共に在宅起訴される。
3人にはグループの経営権を李会長から李在鎔(イ・ジェヨン)三星電子常務へと引き継がせるため、三星エバーランドの転換社債(CB)や三星SDSの新株引受権付社債(BW)を低価格で発行することを共謀した容疑(特定経済犯罪加重処罰法上の背任など)も適用される。
▲李会長は在宅起訴〓李会長の在宅起訴は13年ぶりのことだ。李氏は1995年、ほかの8人の財閥トップと共に盧泰愚(ノ・テウ)元大統領に賄賂を手渡した容疑などで在宅起訴された。
李会長に租税逃れの容疑が適用されれば、借名株式の譲渡税逃れの容疑で起訴される最初の事例となる見通しだ。これについての裁判所の最終判断が下されれば、判例も新たにできることになる。それだけに、有罪や無罪を争う法理的攻防も激しくなるものと見られる。
金泳三(キム・ヨンサム)元大統領の次男、賢哲(ヒョンチョル)氏も、借名口座を利用した租税逃れの容疑で、最高裁判所での確定判決まで下されたが、具体的な容疑は利子所得税逃れだった。
法曹界では1500億ウォンを上回ることが確認された租税逃れ額も、かつてなく大きな規模との評価が多い。
▲エバーランド事件での起訴〓李会長への起訴はエバーランド事件の検察告発以来、7年10ヶ月ぶりのことだ。全国の法学部の教授ら43人は、00年6月、李会長など33人を検察に告発していた。
グループの経営権が父親から息子に引き継がれる過程で、父親の李会長が知らなかったはずがないという疑惑について、法廷でその真実が問われることになったのだ。
これと関連して李会長は、特検チームでの事情聴取の際、「自分で指示したことはない」と主張した。
三星SDS事件の概要も、エバーランド事件と似ているが、起訴方針はやや意外だという見方が多い。
李副会長や金社長も同様に、経営権の不法引継ぎと関連した両事件を共謀した容疑で在宅起訴される。
三星火災の10億ウォン台の裏資金疑惑は、特検チームが伝統的な意味合いでの裏資金容疑(横領)を適用した唯一の事件だ。特検チームは黃泰善(ファン・テソン)社長などの起訴は行うが、戦略企画室が介入した手がかりは見つけられなかった。
▲金品ロビーなどは容疑無し〓金品ロビーと関連した金勇𨩱(キム・ヨンチョル)弁護士の暴露は、ただの一つも信憑性を持って解明されたものがないというのが特検チームの結論だ。
金弁護士は金成浩(キム・ソンホ)国家情報院長に直接金品を手渡したと主張したが、特検チームは、金弁護士が主張した金品の手渡しの方法や時期などに客観的信用性が薄いと見たという。
特検チームは金弁護士が主張したエバーランド事件の証拠操作疑惑を裏付ける証拠も見つけられなかった。
特に1998年12月、エバーランドが買い付けた三星生命の株式18%は李会長のものではないかという疑惑が持ち上がったものの、それを裏付ける根拠のない単なる「疑惑」に止まった。
三星が02年の大統領選挙前に購入した国民住宅債券837億ウォン分のうち、三星が保有していたとして元本やコピーを提出した443億3000万ウォン分の債券の流通経路についても、特検チームは刑事処罰できるほどの問題点を見つけられなかったもようだ。
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