「バラク・オバマ上院議員が本選の壁を越えるかどうかは、誰も断言できない。しかし、当落と関係なく、10年、20年後に振り返れば、08年の『オバマフィバー』は、水面下で形成された変化の流れが、米国社会に新たな章を開いた時期と評価されるだろう」(申起旭・米スタンフォード大学社会学部教授、アジア太平洋研究所長)
米大統領選の民主党候補指名争いは、オバマ候補が20日に実施されたオレゴンとケンタッキー予備選挙で一般代議員の過半数を確保した。候補の確定に必要な「マジックナンバー」(スーパー代議員を含む全代議員の過半数)にはまだ到達していないが、事実上「投票者たちの過半数を得た」と宣言してもいい里程標を超えたのだ。
オバマ候補は20日夕方、アイオワ州で勝利祝賀会を開き、民主党候補に事実上確定したと宣言する予定だ。演説内容は事前に配布されていないが、最近のほぼすべての演説で触れている内容が入るのは明白だ。
「歴史には、新しい世代を呼ぶ時代的要請がある時がある。今、私たちはそのような要請を受けており、応えなければならない時だ。米国の歴史のページをめくり、『ニューチャプター(New Chapter=新しい章)』を綴る時がきた」
オバマ候補の言葉のように、米国の歴史は、数十年に1度、新しい時代を開く変化の動力が形成されるという特徴を見せてきた。同時代の人々はまだ感知できないかもしれないが、後で振り返って見れば、「あの時がニューチャプターを開く変化の沸点だった」と皆が同意する時があるのだ。
米国の多くの政治、歴史の専門家たちは、今年の大統領選挙が、ニューチャプターに進入する契機になる可能性が高いと分析している。
▲米国史のニューチャプター〓ジョージア大学歴史学者のエドワード・ラーセン教授は最近のコラムで、「禧年(jubilee)」という用語を使って、米国の変化を診断した。禧年は、50年ごとに債務を免除し、奴隷を解放するなど、過去を清算して新しい未来を開くヒブリ人の意識を意味する。
ラーセン教授は、米国の政治もほぼ50年ごとに禧年のような経験をし、今年がその年かもしれないと診断した。例えば、△ジェファーソンが貴族主義的連邦主義者を退け、民衆の支配を取り入れた1800年、△1850年代のリンカーンの当選と奴隷解放、△1896年のルーズベルトの当選、△1960年代のフロンティア精神を提唱したケネディの当選とマーティン・ルーサー・キング牧師の登場などが、そのような変化の契機ということだ。
申起旭(シン・ギウク)教授は、「わずか40代前半の年齢で、(比較的少数派の)カトリック教徒出身のケネディの当選は、1960年代当時、米国に希望と活力を吹き込む意味があった。オバマフィバーも、人種、性、少数民族の文化に柔軟で寛容な新しい世代が、米国の変化を渇望していることを物語っている」と話した。
クリントン元大統領の政策諮問役を務めたブルッキングス研究所のウィリアム・ゴールストン研究員は、「オバマ候補の選挙テーマは、次のページに進もうということだ。過去40年間の分裂した政治を断固反対し、新たに始めようという彼の訴えに、大衆が反応した」と語った。
▲ニューチャプターを呼ぶ動力〓専門家たちは、新たな時代への進入を促進する力を3つの軸で説明する。
まず、底辺からの変化だ。特に、世代の変化が大きな影響を及ぼしている。新しい文化や時代の環境で育った世代は、変化は避けられないのだと要求しているのだ。
ゴールストン研究員は、「オバマフィバーの主役である若い有権者の特徴は、彼らが既成世代よりも人種的に多様化した米国で育ったという点だ」と診断した。学校などで、アジア、欧州、南米の移民者とともに育ったことで、そのような変化に慣れているということだ。
変化を触発するさらなる要因は、既存の支配層の実情だ。
ラーセン教授によると、△ジェファーソン時代以前は、連邦主義者たちの横暴がひどく、△ルーズベルト時代の前は、腐敗とスキャンダルが横行し、△ケネディとキング牧師時代の前は、「マッカシー旋風」と人種差別が人々を傷つけた。
現在のオバマフィバーは、ブッシュ政府のイラク戦争の失敗、独断主義の外交政策、経済難、そして民主党を含む既成の政界全体が、腐敗と無能イメージに包まれている状況と無関係ではない。
指導者個人の資質と条件も、変化を触発する要因だ。オバマ候補は、黒人と白人の間に生まれ、ハワイや東南アジアで育ったが、米国の名門私学と名門大学を卒業したエリートというイメージが結びつき、「変化」を切望する若い世代に訴える力を持つことができた。
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