「800メートルほど、港に沿って歩いたが、私があれほど期待していた網を直しながらサンタルチアを歌う幸せそうな漁師の姿は、どこにも見当たらなかった。その代わり、脅威的にも見える見捨てられた船舶や山積み(言葉どおり山だった!)のごみ山だけがいたるところに散らばっていた」。イタリア・ナポリが「ごみ問題」で悩まされているという外国メディアのニュースを目にした時、私はちょうど、ビル・ブライソンの『不埒なヨーロッパ散歩』のナポリの巻を読んでいる最中だった。ブライソンがナポリを旅した時期を調べてみたら1993年だった。
◆15年前に一人の作家の目にごみを除いては何一つない都市として映ったナポリは今、本物の「ごみの都市」と化してしまった。ごみの捨て場がなく、各清掃会社では昨年のクリスマス以来、ごみ収集そのものを中止した。数千トンのごみが道路をふさぎ、悪臭を漂わせると、ナポリを支えてきた観光客たちの足も途絶えてしまった。イタリア政府はごみ処理の義務を果さなかったという理由で、欧州連合(EU)によって欧州司法裁判所に提訴された。
◆解決に打って出たのはドイツのハンブルク市。ハンブルクは先月、ナポリのごみ3万トンを処理する契約を結び、ナポリから鉄道で輸送されてきたごみを焼却処分している。地方政治で緑の党が政権を握っているハンブルクは、環境分野ではもっとも先進的な都市だ。人口180万人のハンブルクは1999年160万トンに上っていたごみの排出量を140万トンへと減らした。同期間のリサイクル規模は5万トンから80万トンへと増えた。ごみは埋め立てではなく焼却できれいに処理する。
◆「ここの人たちは都市を築き上げただけではなく、自分自身も新たに創造した。聡明な頭脳や勤勉さで豊かで、優雅で、外観もきれいな自分を再創造した。今日のハンブルクを見れば、自分の運命をドイツ人の手に安心して任せられる」。米国人のブライソンはハンブルクにこのような賛辞を送った。過去(ポンペイの遺跡)を売って生きながら未来には投資しないナポリと、かつて(敗戦)の呪縛から抜け出し、きれいで豊かな都市と生まれ変わったハンブルク。国の運命も同様だ。ヨーロッパの二つの都市が韓国の未来に投げかけるメッセージが胸に染みる。
鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com