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情報の海、「検索」はできるが「検証」ができず

情報の海、「検索」はできるが「検証」ができず

Posted June. 12, 2008 06:22,   

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今月初め、ポータルサイト・ダウムの世論広場「アゴラ」に、「殺人警察」というタイトルの書き込みが掲載された。

この書き込みは、「1日未明、米国産牛肉反対ろうそく集会に参加して、20代の女性が戦闘警察(日本の機動隊)に首をしめられているのを見た。死んだようだ」という内容だった。

この書き込みと写真も、ネットで流れて急速に広がり、「暴力警察」、「殺人警察」という非難世論も拡散した。しかし、翌日、警察が調査した結果、倒れていたのは呼吸困難を起こした警察官だったことがわかった。この「虚偽の事実」を流布した疑いで拘束されたチェ某容疑者は、「確かではなかったが、そのように見えたので、ネットに流した」と話した。

インターネットはよく「情報の海」と言われる。しかし、この海には情報の玉石を選り分ける検証道具も、誤った情報を集めて捨てるゴミ箱もない。これらによる社会的損失はますます大きくなっており、小さな個人の知識が集まって「集団知性」の力となるネットの社会的機能までも脅かしているという指摘が少なくない。

●検証システムがない情報の海

先月初め、主要ポータルサイトの検索欄に、「狂牛病(牛海綿状脳症=BSE)」を入力してみると、狂牛病とまったく関係のない妊婦関連サイト、通訳翻訳サービス会社のホームページなどが検索され、ネットユーザーの強い反発を買った。

スポンサーリンクで登録し、最も人気のあるキーワードを関連検索語にして、ユーザーを引きつける不道徳な商術というわけだ。

ある医師は、「人気検索サービスのネイバー『知識iN』も、医学知識のような専門知識の中には、信じてはいけない誤った情報がかなり多い。これを正す情報を掲載しても、虚偽情報と区別されず、『多くの情報の中の一つ』として埋もれてしまう」と話した。

情報通信政策研究員(KISDI)は06年の研究報告書で、「体調の悪い人は、体だけでなく、心も弱くなっている場合が多い。インターネットの知識検索に出ている自分の病気と関連した情報を意外に簡単に信じる」と指摘した。

同報告書によると、ネットの知識検索の内容が間違っていて被害を受けたケースが16.7%と報告された。ユーザー6人に1人は、不正確なネット情報を信じて被害を受けたわけだ。

警察庁サイバー捜査隊は、「オンライン上の虚偽情報は、掲示板やブログを通じて一瞬のうちに広がるため、最初の掲示者を突き止めて、情報の歪曲を阻止することが非常に難しい。このような虚偽の情報による社会的損失は莫大だが、その責任は誰も負わない」と話した。

しかし、情報の検索順位を指定して、世論に直接的な影響を及ぼすネットポータルは、「私たちは情報を配置するだけで、内容には関与しない」と主張し、責任を回避している。

●「集団知性」を「集団野性」に歪める虚偽情報

不正確で選別されていない情報の過剰化は、事実かどうかや論理的根拠とは関係なく、「多くの人が信じるか信じたい情報=当たっていて正しい情報」という状況をもたらす場合も少なくない。

ネット討論ルームや掲示板の論争で、多くが信じる内容と異なる書き込みがあると、「ここ、バイト追加(「バイト学生が金を受け取って書き込んだ」という意味)」のような悪意的なレスや非難が殺到する。

このため、いわゆる「進歩的言論学者」の間でも、「ネット業界が悪意レスによる表現の自由には寛大で、そのために剥奪される表現の自由には無関心になる傾向がある」という自省論も出ている。

ネット業界関係者たちは、「インターネットが『開かれた空間』だと言っても、異なる声を出せば『魔女狩り』式に追い込むのが常だ。『沈黙するか、あるいは沈黙せざるを得ない多数』の声が反映されないため、情報の間違いや世論の一方向への傾倒現象が深まる」と話した。

慶熙(キョンヒ)大学人類社会再建研究院のソン・ギョンジェ教授は、「ポータルなどは討論ルームの本来の意味を活かせるように、運営方式を変える必要がある。賛否討論ルームを別途運営し、それぞれの世論を取り上げ、整理する仲裁役を置くなら、互いの理解をさらに深めることができるだろう」と助言した。