「3千万人が眠っている時、我々は眼を覚まし/韓国人の農民兄弟が泣き叫んだその日…」。1980年代、各大学でのデモ現場で定番歌として歌われた「農民の歌」はこのように始まる。しかし、この歌はもともとデモ隊の歌ではなかった。金大中(キム・デジュン)政権で最初の農林部長官を歴任した金成勳(キム・ソンフン)尚志(サンジ)大学総長が、ソウル大学農学部に通っていた1960年代初頭に作詞した、一種の農村活動サークルの団歌だった。金総長の「農民フレンドリー」は以前から格別だった。
◆長官時代、「全琫準(チョン・ボンジュン)と農民たちの100年の願い」という水税の完全廃止を貫いたりもした。しかし、多くの国民に金総長は屈辱的な韓中ニンニク交渉(00年)の「原因提供者」として知られている。金総長としてはそれが「恨み」となり、ニンニク交渉を担当した外交通商部通商交渉本部に対しても、しこりが多かったようだ。金総長は、李明博(イ・ミョンバク)大統領が国民に向けての2度目の謝罪談話で再度、ニンニク交渉の時の話を取り上げると、不満をぶちまけた。
◆ニンニク交渉の当時、通商交渉本部地域通商局長だった金宗壎(キム・ジョンフン)本部長が、牛肉の追加交渉の結果を発表すると、金総長はインターネット媒体とのインタビューで、「金本部長はでたらめの協議を行い、国民をだましている」、「通商報復云々というのは国民への脅迫だ」と激しく批判した。我慢できなかった金本部長が進んで記者会見を要請し、「金元長官が緊急関税を強く要求し、中国産ニンニクに315%の関税をかけたものの、通商報復を受けた。だれよりも通商報復の性格をよくご存知の方が、そこまで言えるだろうか」と強く反発した。
◆外交部通商部門に対する金総長の反感がどれぐらいか分からないが、長官を歴任し、大学総長まで務めている「知性」が、「米国内には人間BSE患者が65万人に上る」と主張するのは、無責任極まりない。金総長は、「米国エール大学やピッツバーグ大学で、痴呆患者として死亡した人を解剖したら、5〜13%が人間BSEで死亡していた。現在、米国では450万人の痴呆患者がいるから、この割合を適用すれば、そのように試算できるという意味だ」と語った。どのような資料からそう主張するのか、公開してもらいたい。米国で人間BSEで死亡した人は3人だったが、皆、英国やサウジアラビアに居住していた人だった。
金昌赫(キム・チャンヒョク)論説委員 chang@donga.com