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[社説]憲法制定60年、憲法の前に謙虚になろう

[社説]憲法制定60年、憲法の前に謙虚になろう

Posted July. 17, 2008 08:30,   

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60年前の1948年、今日の大韓民国憲法が誕生した。当時、東亜(トンア)日報は、「連日曇っていた天気も晴れ、鳥の声も未来の国運を祝うかのように、万民の歓喜が満ち溢れる中…」と、華やかな「蔓えん体」の記事で憲法制定を祝った。5千年の歴史上初めて、国民主権時代を開いた大韓民国憲法の公布の瞬間は、このように感慨無量だった。1ヵ月後の8月15日、李承晩(イ・スンマン)大統領率いる初代政府が、正式に発足したことで、韓国は新生民主共和国として、感激の一歩を踏み出した。

しかし、韓国の憲政史は、北朝鮮の南侵による韓国戦争と相次ぐ武力挑発、2度の軍事クーデター、反民主および独裁との長い闘争による数々の試練と屈曲の歴史だった。その間、数回にわたる憲政中断の中、憲法が9回も改正された。1987年になって、6月民主抗争の産物として現行憲法が誕生したことで、この地に名実ともに民主主義が根を下ろした。1988年、「憲法の番人」として出発した憲法裁判所は、憲法を国家運営と国民生活の最高規範に定着させるうえで、大いに寄与した。

憲法は、国家を支える礎であり、進むべき方向を示す道しるべだ。しかし、60年間続いてきた憲法精神が、深刻な問題に直面している。自由民主主義と法治主義、市場経済の原則が脅かされているのだ。一部勢力は、直接民主主義の仮面をかぶって、暴力まで動員した不法デモに明け暮れ、法治と代議政治の理念を踏みにじっている。一部左派勢力は、国民が自由で公正な直接選挙を通して、選出した大統領を退陣させようと、組織的な選挙不服運動を繰り広げている。大手新聞社に対する広告脅迫により、言論の自由と市場経済を踏みにじり、公権力を行使する警察官に対する「人民裁判」もためらわない。憲法を真っ向から否定する行為である。

著名な憲法学者の許営(ホ・ヨン)明知(ミョンジ)大学教授は、「韓国憲法の核心を成す自由民主主義と法治主義、市場経済の原則の限界を脱した憲法改正や解釈は、『憲法破壊』だ」と強調する。さらに、「デジタル民主主義や広場民主主義といったものも、憲法精神である代議民主主義を否定するもので、憲法秩序を崩壊させようとする意図がある」と許教授は指摘する。

国会の一部で憲法改正論議が起っているが、自由民主主義、市場経済、法治という現行憲法の基本精神を変えることはできない。これは、世界のすべての文明国が目指しており、反問できない精神でもある。現行憲法は、韓国国民が長い歳月の間、反独栽民主化闘争で勝ち取った戦利品である。