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[オピニオン]裁判所職員の捜査妨害

Posted August. 27, 2008 09:34,   

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ユン・ギョンファ老人殺害事件で国全体が騒然となっていた1981年8月、ソウル龍山(ヨンサン)警察署のハ・ヨンウン刑事は、被害者老人であるユン氏の遺品の後片付けのため、現場へと向かった。ハ刑事は現場で550万ウォンが預金されていた預金証書3枚を見つけ、大金に目がくらみ、こっそり自分のポケットに入れた。貸付業者を通して現金300万ウォンと取り換えようとしたところがばれて、捜査経歴13年のベテラン刑事は、職務遺棄及び業務上横領の容疑で、逮捕された。一人の刑事の物欲が捜査を混乱に突き落とし、容疑が有力だった殺人容疑者は無罪判決を受けたまま釈放され、事件は永久に解決することなく終わった。

◆1980年代ごろまでは、殺人事件の現場は混乱極まりなかった。証拠物になりうるものを、誰かが持ち去っても気がつかないことが日常茶飯事だった。刑事が被害者の金品を着服した事例は、ハ刑事のケースのみではないかも知れない。記者らも特ダネをつかむため、殺害された人の写真や日記などをたびたび持ち帰った。その過程で誕生したのがほかならぬ「ポリスライン」だ。事件発生直後、警察が現場の保存のため、一般人の接近を食い止めるロープである。

◆スリや風俗営業などへの警察の一斉取締りの時は、内通している刑事が取り締まりの情報を該当組織や店にあらかじめ流す事例も多かった。捜査情報が事前に外部へと洩れれば、被疑者が逃げたり、証拠を隠滅したりするおそれもある。このため、捜査機関としては捜査の機密保持が肝心だ。毒物・劇物の脅迫事件や誘拐事件がその代表的なケースである。犯人逮捕のため、警察とメディア同士が、「検挙後の報道」を約束する紳士協定を結んだりもする。

◆最近、裁判所の職員らが大手新聞3社の広告主への脅迫事件を主導したり、米国産牛肉の輸入反対を巡る不法デモ事件についての捜査を妨害した容疑で、検察から取調べを受けている。インターネットコミュニティを通じて、広告主への脅迫をそそのかした裁判所の職員もいる。裁判所労組のある職員には、裁判事務のコンピューター網から捜査情報を盗んで、被疑者らに知らせた容疑が掛かっている。裁判所の公務員労組は声明を出し、「行過ぎた捜査だ」と反発しているが、国家保安法の前科のある労組職員を採用し、勝手に裁判所のコンピューター網を利用させたことについて、まず謝罪するのが道理だ。裁判業務を補助する裁判所の職員らが犯罪被疑者らと一味となれば、司法正義など実現されるはずがない。

陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com