北朝鮮が、無能力化が進行中だった核施設に対する復旧作業を開始したと米側に事前通報していたことが4日、分かった。
韓国外交通商部の当局者は同日、非公式の記者懇談会の席で「北朝鮮が2日、寧辺の現場に滞在していた米国の要員たちに、各施設に対する復旧作業を開始することを決定したと、口頭でで通報しており、韓国政府も同日、遅い時間に米側から同内容の通報を受けた」と明らかにした。
寧辺では、一体、何がおきているのか。
米国がテロ支援国リストから削除することにした期限(8月11日)を超えた翌日の8月14日、北朝鮮は寧辺の5メガワット級の実験原子炉と再処理施設、核燃料棒の製造工場の3ヵ所の核施設に対する無能力化を中断した。
また同月26日には、北朝鮮の外務省報道官の声明を通じて、「核施設無能力化の作業を中断しており、核施設の復旧作業を考慮している」と明言し、9月2日には核施設の復旧作業開始の方針を米側に通報した。
3日からは、これまで無能力化作業によって撤去された倉庫に保存していた装備を現場に持ち出した。今年6月27日に爆破したままで放置していた冷却塔の残骸の清掃も始めた。この一連の動きからして、北朝鮮の今回の措置は、ひとまず核申告書名を提出したにもかかわらず、米国によるテロ支援国リストからの削除が見送られたことに対する強硬対応策をとっているものと見受けられる。
しかし、北朝鮮の典型的な「瀬戸際外交交渉」戦術に過ぎず、6者協議を破綻に追い込むことを狙っているわけではない、との見方も出ている。北朝鮮が寧辺の現場にいた米国と国際原子力機関(IAEA)の要員たちに撤収を要求していないからだ。
しかも、一部の作業は、米国とIAEAの関係者らが見守る中で行われているという。北朝鮮がこれ以上の交渉に意思がなかったら、核施設復旧の動きを見せるよりは、寧辺にいる米国とIAEAの関係者たちを追放するカードを切っていただろう、との見方が多い。
また、北朝鮮が各施設の復旧作業を開始したと言っても、核兵器の原料となるプルトニウムを生産できるまでには、短くない時間を必要とするものと予想される。
6者協議の韓国側首席代表の金塾(キム・スク)韓半島和平交渉本部長は5日、北京で米側の6者協議首席代表を務めるクリストファー・ヒル米国務次官補(東アジア太平洋担当)と会談し、6日中には中国側首席代表の武大偉外務次官と協議を行うという。
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