「お土産は何を買った?」「お酒を飲みすぎると、脂肪肝になるから、気をつけろよ」「(パスポートの写真を見ながら)お前、うまく撮れよ。へたしたら、テロリストに見えるよ」
11日午前10時、中国遼寧省丹東市の税関出入国事務所の前。手にお土産の袋を持った7人の北朝鮮の青年が手続きを待ちながら交わす対話の内容が途切れ途切れに聞こえてきた。
彼らは北朝鮮で金策(キムチェク)工科大学をなど名門大学を出て、丹東にある情報技術(IT)会社で仕事をするエリートで、仲秋節を迎えて故郷へ帰るところだと、現地の消息筋が教えてくれた。
北朝鮮の国慶節記念行事で、9〜10日の2日間中断されていた丹東の国境出入が再開されたことで、汽車の駅や税関などは北朝鮮へ帰る人々でごった返している。
中国に出稼ぎに来ている北朝鮮の人々を対象に、生活雑貨を主に販売する「北朝鮮人通り」である税関の向かい側の前進街の商店もほとんど店を開けて客を迎えている。
金正日(キム・ジョンイル)総書記の病気説で海外のメディアが何日も騒いでいるものの、丹東で接した北朝鮮の人の対話や鴨緑江(アプロッガン)だけを挟んでいて北朝鮮と近いという丹東で、金総書記の近況を聞くことはなかった。
同日午前、鴨緑江沿い。散策と朝の体操のため出てきた市民の数人に、金総書記の病気説について聞いたが、知っているという人はいなかった。
ある50代の男性は、「この前、北朝鮮の寧辺(ヨンビョン)冷却塔の爆破は、テレビのニュースでも報道されて知っていたが、金総書記が倒れたというニュースは聞いたことがない」と話す。
地元紙の丹東日報と鴨隳江晩報も、金総書記関連ニュースはなかった。丹東の中国人民解放軍辺境守備隊にも金総書記と関連しては別に何の情報も入っていないと、ある消息筋が軍関係者の言葉として伝えた。
丹東のあるホテルのエレベーターには、「新義州(シンウィジュ)1日690人民元、平壌(ピョンヤン)・開城(ゲソン)・妙香山(ミョヒャンサン)2600人民元(約40万ウォン)」という広告版が張られている。ここの旅行会社は中国で唯一、北朝鮮団体観光客の募集が可能だ。
丹東市内には、「韓国朝鮮商品総合販売店」や北朝鮮人の通りがあり、「玉留館」「三千里」「高麗食堂」など8つの北朝鮮食堂がある。北朝鮮の「ドル稼ぎ労働者」も3000人ぐらい出稼ぎに来ていると推定されている。
丹東が北朝鮮にとっては外部に通じる「解放口」のようなところなため、比較的北朝鮮の情報が入ってくる。しかし、「距離は近くて、情報は遠過ぎるほどのところで」という事実を改めて実感した。
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