河南省の闇市で、偽造卵で作った目玉焼きを食べた中国人の一人が、店主を攻め立て偽造卵の作り方を聞き出した。卵白は、食品の粘性を高めるために使われる添加剤のアルギン酸ナトリウムで作る。この白身に、クエン酸の黄色色素を入れて、黄身を作る。この黄色い液体を融雪剤に使われる塩化カルシウムに入れると、透明な膜ができて卵が作られる。江蘇省宿遷市では、安価なハムと小麦粉で作った偽牛肉が市場で出回ったこともあった。
◆中国で偽造食品の製造方法を見ていると、どうやってそんな物が作れるのか、恐ろしさを通り越して、不思議にさえ思えるほどだ。中国ではブドウを使わず、製造したワインが水より安い価格で、売られている。空港や国際級ホテルの免税店で買った銘酒や高級茶であっても、安心できないということはもう常識になっている。今年に入り、広東省で工業用のメチルアルコールが、混入されたお酒を飲んで11人が死亡した。餃子中毒事件など、中国産有害食品問題を指摘する世界の声が、高くなると、中国政府も事態の深刻性を認識し、不良食品の製造業者を極刑に処しているが、事態は一向に改善していない。
◆メラミン乳製品に端を発した中国産食品の恐怖が、全世界に広がっている。メラミン入りの粉ミルクのため、健康被害に陥った乳幼児は、4万人に達している。中国当局の当初の発表とは違い、この乳製品が、東南アジアとアフリカに輸出されていたことが明るみに出た。さらに、このメラミン乳を材料に使われたチョコレートやお菓子が、韓国と日本に輸出され、メラミン入りの飼料は、韓国の養殖場に供給されたことも明らかになった。国民の不安拡大を受け、食品医薬品安全庁(食薬庁)は中国産粉ミルクだけでなく、中国産牛乳が含まれている製品まで調査対象にした。
◆中国産食品が、韓国の食の安全を脅かした例は、枚挙にいとまがない。マラカイトグリーンが検出されたウナギ、鉛入りのワタリガニ、重金属に汚染された緑茶や漢方薬剤、工業用色素で染められた胡麻、漂白剤で漂白された蒸しコメなど。食薬庁が、ハンナラ党の林斗成(イム・トゥソン)議員に提出した資料によると、ここ3年間、発がん性物質や細菌が検出され、廃棄された中国産食品は40トンに上る。実体のない「狂牛病牛肉」に憤り、ソウル都心を埋め尽くしたろうそくデモ隊はなぜ、中国産有害食品には沈黙しているのか、知りたいものだ。
鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説議員 shchung@donga.com