全光宇(チョン・グァンウ)金融委員会委員長は、「規制改革により、金融産業内での競争や自律を拡大していくつもりだ」として、金融や公企業の民営化を予定通り推進すると語った。米国に端を発した金融危機により、金融関連規制に拍車をかけるべきだという主張が、一部から持ち上がると、「規制緩和を通して、金融産業の競争力の向上」という政策基調に変わりはないと答えた。金融市場が混乱している中、政府が市場参加者に判断基準を示したともいえるだろう。
世界経済に膨大な衝撃を与えた米金融危機は、先端手法で収益性を上げることだけが、全てではないという教訓を残した。目の前の利益に惑わされ、金融会社内部の健全性や透明性の管理をないがしろにすれば、個々の会社はもとより市場の存立すら危うくなりかねないことが、グローバル投資銀行(IB)倒産で裏付けられた。数多い投資家の金を扱う金融業の特性上、市場が大きくなるほど、金融当局の健全性への監督はさら強化されるべきだ。
民主党と一部の市民団体は、米国に端を発した金融危機をきっかけに、米国流の金融モデルを見直し、規制を強化すべきだと主張している。民主党のシンクタンクである民主政策研究院の金ヒョソク院長は、産業銀行の民営化や金融ハブ構想、金融資本や産業資本の分離(金産分離)規制の緩和、出資総額制限制の緩和、資本市場の統合など、現政府が推進する金融先進化計画を原点に立ち戻って再検討すべきだと要求した。
金融会社の健全性に対する監督強化や、金融産業規制を緩和することは、相互に対立する概念ではない。規制緩和の順機能を最大化するものの、市場を混乱に陥れる危険性のある逸脱は、徹底した監督や処罰で取り締まればよい。何とかして民営化を阻止し、既得権を守ろうとする一部の公企業の労組の目論見が、規制強化論に見え隠れするような気がする。官治金融の復活を正当化する論理へとつながりかねない。
金融業は高い付加価値を創出し、良質の雇用を作り出す成長動力産業だ。韓国金融が先進国に遅れを取っているのは、当局のずさんな監督のためではなく、収益モデルを追い求めようとする金融会社の自主性まで食い止めた過度な規制や口出しのせいである。わが金融システムの脆弱性を補完するためにも、金融部門の規制緩和はさらにスピードを上げるべきである。