トイレット・ペーパーを作る過程は複雑だ。捨てられたコピー紙や新聞、雑誌などをパルプ製造機に入れて水と薬品を混ぜ、小さな繊維粒子にした後、漂白や脱水、圧着、乾燥、光沢、包装の過程を経なければならない。乾燥過程でのみ1トンに29万キロワットの電力が消費される。1世帯の1ヵ月間のエアコンの電力消費量の1330倍にも上る量だ。リサイクル古紙の回収率を1%だけ上げても、年間290万ドル(約40億ウォン)を節約できる。
◆使い捨ての紙カップは内側の防水のため、「ポリエチレン」コーティングが施されるが、つぶされているとリサイクルは難しい。リサイクル率を1%だけ上げても、年間4637万ドル(約639億ウォン)が節約できる。1トンのA4紙の製造には1.5トンの樹木が必要だ。この樹木のほとんどは輸入に頼っている。紙1トンをリサイクルすれば、17本の木と28トンの水、1時間に4200キロワットの電力が節約できる。ボールペン用のインクはアフリカから輸入するゴムの木のエキスがその原料だ。プラスチックのペン軸は、中東産原油から作る。一滴の石油すら出ない我々としては、この全てがほかならぬドルだ。
◆圧力釜でご飯を炊けば年間26ドル(約3万5000ウォン)、テレビ視聴を毎日2時間減らせば年間4ドル(約5500ウォン)節約できる。自動車の荷物が10キロずつ増えるたびに、50キロで走行する際、ガソリンはさらに80ccが必要となる。トランクを空にして走れば、年間26ドルが節約できる。全体1500万世帯の10%に当たる150万世帯が1月の電気使用を3キロワット(300ウォン)だけ節約しても、547万ドル(約74億ウォン)を、ガスの炎を一段だけ弱火にしても638万ドル(約89億ウォン)が節約できる。知識経済部によれば、石油消費量を10%減らせば、年間122億ドル(約16兆8300億ウォン)が節約できるという。
◆外国為替市場を揺さぶっている「正気でないウォン安ドル高」はドル不足が主な原因だ。各銀行も「タンスの中の外貨を銀行へと!」というキャンペーンを繰り広げている。8月の1ヵ月間、海外旅行客887万人が財布に1人当たり平均50ドルずつ残していると仮定すれば、計4億4000万ドルに上る。これだけ銀行に預けても、事情はやや好転することになるという。政府や企業にだけに頼らず、家計や個人も「小さな実践」を通じて、危機の打開に貢献することができる。
許文明(ホ・ムンミョン)論説委員 angelhuh@donga.com