米国が12日、北朝鮮のテロ支援国家指定を解除した。大韓航空機爆破事件で、88年1月にテロ支援国家に指定されてから20年9ヵ月ぶりだ。当時、韓国人93人を含め115人の乗客が、ミャンマー上空で命を失ったが、北朝鮮はこれまで謝罪どころか、犯行自体も認めたことがない。犠牲者を思えば、韓国としては、米国の解除措置を快く受け入れることはできない。
米国は、北朝鮮が第2段階の核検証の実施に同意したため、「行動対行動」の原則によるものだと説明したが、北朝鮮が「正確な申告」と「完全な検証」の約束を守ったわけでもない。むしろ、未申告核施設は、「北朝鮮の同意」があれば査察できるようになっており、検証はさらに難しくなった。
このような状態で、北朝鮮核問題が次期政権に先送りになれば、またどれだけ時間がかかるかわからない。韓日両国ではすでに、「北朝鮮だけが得をした」、「任期末に後がないブッシュ政府が、北朝鮮の『通米封南』戦術にはまった」という批判論が出ているのも無理もない。
ただ、ブッシュ政府が、テロ支援国家指定の解除を発表した際、「北朝鮮が、核検証に合致しない行動をする場合、再びリストに含めることができる」と、但書きをつけたのは幸いだ。バラック・オバマ民主党大統領候補も、同様の内容の声明を発表した。米国は、今回の措置が「条件付き」であることを明確にし、次期政権の発足前であっても、言葉ではなく行動でこれを示さなければならない。
北朝鮮外務省報道官は、早くも「核検証の履行は、米国のテロ支援国家指定解除の措置が、実在的な效力を出し、6者協議参加国が経済補償を完了することにかかっている」と述べ、高圧的な姿勢を見せている。しかし、テロ支援国家指定リストから削除されたからといって、すぐに変化はないことを北朝鮮は知るべきだ。核廃棄の約束を守り、改革と開放に向けて努力する時だけ、国際社会からの対応や支援が期待できる。米国との関係改善も然りだ。
今回の措置で、韓国社会でも、民主党と左派勢力を中心に、「李明博(イ・ミョンバク)政府が、6・15および10・4首脳宣言を履行し、南北関係の改善に乗り出さなければならない」という声が高まっている。親北朝鮮性向を出したのでないなら、軽いという思いは拭えない。北朝鮮の真正性を見極めて、そのような主張をしても遅くない。「北朝鮮が、ソウルを飛ばしてすぐにワシントンに行く」という定番の主張で、状況をごまかしてはならない。