バラク・オバマ米大統領当選者が、大統領選勝利が確定した直後から、直接経済を取り仕切り始めた。オバマ氏は今週末、経済対策を中心に次期政府の国政運営方向を明らかにする計画だ。韓国としては、韓米自由貿易協定(FTA)に対するオバマ氏の構想が特に注目される。
オバマ氏の選挙陣営のフランク・ジャヌージ韓半島政策チーム長は、オバマ氏の韓米FTA改正要求が、ただの選挙用ではなく「実際の状況」になる可能性があると強調した。オバマ氏は、「米国の自動車が韓国で毎年5000台販売されているのに比べて、韓国の対米自動車輸出が70万台にもなる現状は望ましくない」として、韓米政府が昨年4月2日に最終合意したFTAを「欠陥の多い交渉」と批判した。
政府と与党ハンナラ党は6日、韓米FTA批准に関する党政合同タスクフォース(TF)の初会議を開き、「早期批准で、オバマ政府の再交渉論を阻止する」という原則を再確認した。党と政府は、韓米FTA早期批准が、韓国の輸出萎縮を防ぐ先制的対応戦略と考えている。朴亨逷(パク・ヒョンジュン)大統領府広報企画官は、ラジオ番組に出演して、「韓国が早く批准することで、FTAを既成事実化し、米新政府に対して、交渉案の可決に向けて努力することが必要だ」と語った。
しかし、韓国だけの早期批准が、米国の政府と議会を圧迫する效果が実際にあるのかについては、論議がある。国会批准同意案処理の一軸である野党民主党の丁世均(チョン・セギュン)代表は、「現実性のない話」と主張する。韓国が、国会の批准同意で背水の陣を敷いても、オバマ政府が再交渉を要求し、韓国政府が結局受け入れるしかない状況になれば、国内で反米ムードが高まるという憂慮もある。
米議会の事情を考えて、来年9月のメーデーの連休後に始まる会期の前に、FTA批准同意案が処理される可能性は薄いという見通しも出ている。そのため、韓国だけが批准同意を急ぐよりも、FTAの発効に必要な約20の付属案の審議および国内的な補完対策づくりなどの準備をし、推移を見守る必要があるということだ。
オバマ氏側も知っておくべきことがある。自動車貿易の不均衡が深刻なのは、米国産自動車が韓国の消費者の趣向を満たすのに失敗したためだ。また、韓米FTAが難航すれば、これが米国の世界戦略に役立つのかも考えるべきだろう。むろん、韓国は、デパートや大型マートにまだ入れずにいる米国産牛肉の販売量を増やす誠意は示すことができるだろう。