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[オピニオン]身分上昇

Posted November. 08, 2008 09:16,   

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「機会の国」米国で黒人大統領が誕生すると、「平等の国」フランスでも、黒人大統領が誕生するかどうかに世界の関心が集まっている。フランスは19世紀から外部の移民を積極的に受け入れ、米国に劣らぬ多人種社会だ。しかし、平等への近づき方に、両国間には差がある。フランスは人口統計をまとめる時、白人か黒人かを区分しない。差別を懸念してのことだ。米国は、黒人の比率が12.9%という正確な数値が出ているほど、まず現実を明らかにしたあと、差別を減らす努力を行う。

◆ウォール・ストリート・ジャーナルによると、フランスでは黒人の政界への進出は非常にまれである。フランス下院議員577人中黒人はただの一人であり、3万6000人の民選団体長の中では3人のみであるという。「フランスのオバマ」はまだ遠い話だという結論だ。フランスはテレビ・ニュースでは黒人キャスターをほとんど見かけない国である。上流社会入りを果たすためには、財力のほか、家柄や学閥までもらさず備えなければならないことで有名だ。移民者らは到底乗り越えられないガラス張りの天井だ。

◆国内でも有名なフランスの碩学、ピエール・ブルデュー(1930˜2002)は、フランスでの身分上昇の難しい背景を研究した。同氏は「文化的な資本」に注目した。両親から経済的な資本の相続を受けるほか、知識や芸術的な感覚の教育を受けることにより、既得権は世襲されることを立証した。フランスの教育システムも両面性を持っている。大学は平準化されているものの、指導層の人々はほとんど「グランジェコール」という別途のエリート学校の出身である。大学を出ては出世は難しく、グランジェコールを卒業しなければならない。

◆米国で黒人大統領が出たのは、社会的な力動性の面では米国がフランスより増しだという意味だ。フランスは長い歴史の中で、階層が固着された一方、米国は短い歴史により身分上昇への道が開かれていることを示している。韓国は、韓国戦争や急激な産業化を経験し、身分秩序の急激な崩壊現象が生じ、いまだ階層移動の側面では都合がよいのが現状だ。しかし、最近の社会の二極化の兆しの中で、事情は悪化しつつある。フランスを理想的なモデルと思う国内の一部の理論家らは自分の都合によいことばかり取り上げずに、全体を見てこそ合理的な解決策が出るだろう。

洪贊植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com