金融危機の影響が実体経済へと広がっている今、韓国経済の最も大きな危険要因は輸出の低迷だ。
1998年の通貨危機の際は、アジアの一部の国々を除いての世界の景気は好況を示していたため、韓国は活発な輸出で危機を乗り切ることができた。でも今は全く異なる。先進諸国が厳しいのはもちろんのこと、中国やインドなどの発展途上国の成長も減速が避けられないのが現状だ。
あらゆる業種が厳しいだろうが、その中でも先進国への輸出比重の高い業種が最も大きな打撃を受けるものと懸念される。実体経済の低迷はこれらの地域で真っ先に進んでいるためだ。
知識経済部によると、対欧州連合(EU)輸出の前年同月比の伸び率は、昨年10月の23.7%から、今年10月はマイナス8.2%へと大幅に減り、米国(32.6%→10.8%)や日本(9.0%→5.5%)への輸出も伸び率が大幅に減り続けている。
先月、輸出増加率はウォン安ドル高や中南米と中東などの途上国の需要の増加で、何とか二桁を維持することができた。しかし、来年の伸び率について、三星(サムスン)経済研究所は8.3%、LG経済研究院は8.9%など、一桁に止まるものと予測している。先進諸国の景気低迷の影響があまりにも大きいことが確認され、このような予測も近いうちに下方修正される可能性が高い。
●耐久財産業などが真っ先に打撃受ける
経済が厳しくなれば消費者は耐久財の消費から減らすことになる。代表的なものは自動車や家電。古くなった製品の買い替えを見送り、新製品は購入しない。LG経済研究院によれば、1970年代後半、2度目のオイルショックの際、自動車や家電、映像音響機器製品の米国内での消費の下落幅はほかの製品より3倍以上も大きかった。
メリッツ証券の尹世郁(ユン・セウク)リサーチ・センター長は、「自動車や情報技術(IT)、造船などの業種は、先進諸国の景気低迷の悪影響を最も直接的に受けるだけに、輸出展望もほかの業種に比べてさらに暗い」と話した。自動車の場合、すでにヨーロッパなどからの注文のキャンセルが相次いでおり、家電部門もウォン安ドル高やオリンピックなどによる今年の特需を、来年は享受できないものと見られる。
自動車や造船業種の後退は、これらの製品の主な原材料となる鉄鋼の需要も減らすことになる。鉄鋼は生産量は増えているものの、景気減速で需要は減っており、一部の品目を除いては価格が下降傾向へと転じている。
造船も同様に先行きが暗い。金融危機で船主らは船舶金融を調達できない上、この数年続いてきた海運業の好況が低迷へと転じる兆しを示している。ただ、市場が萎縮されるほど信頼度の高い韓国造船会社に新規の発注が集中する可能性もありうることがせめての慰めとなっている。
●産業全般にわたる連鎖的な輸出減速が懸念
半導体や無線通信機器など、ほかのIT業種の来年の輸出展望も明るくない。
メモリー半導体の供給過剰による価格の下落で、この4ヵ月間連続して輸出が減少した半導体産業は長期的な不況を予告している。半導体価格の回復時期が不透明な上、需要の減少幅は非常に大きいものと予想されているからだ。チュ・デヨン産業研究院(KIET)研究委員は、「半導体は家電やパソコン、携帯電話などの耐久消費財を作るための中間財であり、消費財の需要が減少すれば、半導体への需要も共に減ることになる」と話した。
携帯電話などの無線通信機器の輸出は小幅の減速が予想される。景気の影響は受けるものの、国内の各製造会社は、△先進国は高価のプレミアム製品、△発展途上国は中低価格の製品、△中国は無線通信機器の部品などで輸出市場を多角化しており、割合衝撃は少ないだろうと、専門家らは予想している。
石油化学産業は景気の変動に敏感である。石油化学製品は主に中国を経て完成品が出来上がった後、先進国へと輸出されるが、中国が世界経済の低迷の影響を受ければ、国内業界も直撃を受けざるを得ない。三星経済研究所の金ジェユン常務は、「韓国が中国に輸出したのを米国などに再び輸出するケースが多く、先進国の景気低迷で多くの業種が影響を受けかねない」と話した。
各繊維業種の企業では今年、ウォン安ドル高の効果を享受したものの、来年景気が低迷すれば需要の減少で、輸出物量が減るのではないかと懸念している。韓国の繊維や衣類製品は主に海外の大手スーパーの中低価格商品として輸出され、景気の影響はより少なく受けるだろうが、状況が悪化すれば、需要がさらに減少する可能性が大きい。
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