ラマダン(イスラム教の断食の月)のため、夜12時が過ぎてから仕事を開始し、テロの対象になることを恐れて、口ひげまで伸ばしてムスリムのように振舞った。ピラミッドにエアコンを販売するマーケティングも構想した」。
今年初頭、三星(サムスン)電子のK部長は20年間、輸出の現場で経験したさまざまなエピソードを書き込んだA4紙4枚分の電子メールを同僚らに送った。1960年代初頭、かつらのようなものばかりを輸出していた国が、40年間で世界11位の貿易大国へと跳躍できたのは、中東の砂漠やアフリカの奥地で汗を流したK部長のような、輸出戦士らがいたためだ。
大韓民国の政府が樹立された1948年、韓国の貿易規模は3000万ドルで、アフリカ・カメルーンの半分、世界100位圏だった。それが、1967年=10億ドル、74年=100億ドル、88年=1000億ドル、07年=7000億ドルを超え、今年は8000億ドル(輸出=4000億ドル)の達成を見込んでいる。輸出10位圏の国々が1000億ドルから4000億ドルの達成までにかかった期間は、平均17.2年だが、我々は13年目でそれを達成した。
船舶や自動車、半導体などの重化学製品と、さまざまな海外市場の開拓が、立役者の役割を果たしてきたが、強い各小企業も大きく貢献した。2日の「貿易の日」には、自動車のサイド・ミラー向け電熱ヒーターの世界市場でのシェアが実に60%に上る「サンテック」や、航空機内での個人向け携帯情報端末(PDA)をアメリカン・エアラインとデルタ航空に納入して、日本のライバル会社を抜いた「アイティウェル」などの強い小企業が輸出トロフィーを受賞した。彼らこそ愛国者である。政治家や政府はこれらの愛国者がさらに跳躍できるように法制度や政策で後押しするべきだが、かえって規制と口出しによって彼らの足を引っ張っている。
強い小企業は特に危機に強い。世界輸出市場の20.5%を占めており、ある程度の危機にはびくともしないドイツ経済の底力も、「866個の世界トップの品目」から出ている。
対外依存度が70%に上る韓国経済は輸出に死活をかけている。なのに、世界的な景気低迷などの影響で、先月の輸出高は7年ぶりに最大幅に減少した。最大交易国である対中国輸出はじつに27.8%も減少した。
創意と競争を武器に、海外へと伸びていった企業家精神や、金になることなら何でも、どこでも出向いて売りさばいた貿易戦士らは、政府と力をあわせてこの危機から脱しなければならない。輸出愛国者たちに拍手を送りたい。