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[オピニオン]数学の力

Posted December. 17, 2008 08:37,   

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映画やドラマで数字や数学が題材として使われることが、まるでメガ・トレンドのようになった。映画「ジュラシック・パーク」のカオス理論は古典に属する。正六面体の部屋の中でのサバイバルゲームを描いた「キューブ」は、観客の数学的な頭脳を試している。マサチューセッツ工科大学(MIT)の数学天才者たちの賭博ゲームを扱った映画「21」では、有名な数学パズルであるモンティーホール問題が登場する。ポピューラー・サイエンス誌が07年に分析した資料によると、米国の主要放送局4局のゴールデンタイムに、数学や科学をテーマにした人気ドラマは、少なくとも15本放送されたという。

◆プラトンは、「神は幾何学者だ」と語ったほど、数学を讃えた。数学という学問のもつ抽象的な思考や明瞭な論理は、人類文明の建設においてその土台となった。英国の哲学者バートランド・ラッセルは、「2つの石と二頭の羊から、2という共通点に気づいた時、文明は芽生え始めた」と話した。今も数学は幕裏の世界で世の中を変えている。金融や情報技術(IT)、マーティングなど多くの分野で数学は活かされている。世界を金融危機へと追い込んだ派生商品も、数学者らが考案したものだ。

◆数学がややこしくて非実利的な学問として認識され、カリキュラムから外され始めたことが悲劇の始まりとなった。01年、超党派的な機構だった米安保委員会は、国家安全保障の二番目の脅威的な要素として、「数学教育がないがしろにされること」を上げた。一番目の脅威はテロだった。マイクロソフトのビル・ゲイツ前会長は07年、米議会での聴聞会で、ほかの国々からでも数学や科学を十分に供給を受けることができなくなれば、米国は深刻な脅威に直面することになるだろうと警告した。ゲイツ氏は、中退したものの、ハーバード大学に在学中は数学を専攻した。

◆教育科学部が12年度の大学入試から、高校の人文系生徒らが受験する数学試験にも微積分や統計を取り入れることにしたという。遅ればせながら、正しい決定である。今の中高年世代は人文系でも微積分を学んだが、今は理科系ですら選択しなければ学ぶことがないという。弘益(ホンイク)大学の朴鍫美(パク・ギョンミ)教授は、微積分を「数学のマクガイバー」と名づけた。宇宙理論から原子の動きにいたるまで、天気予報から物価指数に至るまで、さまざまなところで使われているからだ。「数学の力」が世の中を動かしていることに気づくようになれば、数学教育を強化せざるを得ないだろう。ドイツの数学や物理・天文学者のカール・フリードリヒ・ガウスは、「数学は学問の女王」と話した。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com