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[オピニオン]ハンチントンの洞察

Posted December. 29, 2008 04:35,   

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米国政治と外交に大きな影響を与えたサミュエル・ハンチントン元ハーバード大学教授が24日、死去した。ハンチントンは、ハーバード大学に58年間在職し、米政府、民主主義、クーデター、移民に関する著書を単独あるいは共同で17冊執筆した学者だ。96年に出版された著書『文明の衝突』は、彼の名前を世界に広く知らしめた。ハンチントンは同書で、冷戦後の武力衝突は、国家間の理念の相違ではなく、主要文明間の対立から始まると主張した。

◆9・11テロが発生すると、「米国主導の好戦的論理」としてしばらく批判を受けたハンチントン理論は、再び力をつけるようになる。オサマ・ビン・ラディンが率いるアルカイダは、米国に象徴されるキリスト教文明に根源的な敵対感を表わしたためだ。文明衝突論は、「強い国家論」を主張したジョンスホプキンス大学のフランシス・フクヤマ教授をはじめとするネオコンに影響を及ぼした。テロとの戦いやイラク戦争に対するブッシュ政府の外交政策を正当化する論理として使われたりもした。

◆ハンチントンは『文明の衝突』で、「文明間の紛争の3分の2から4分の3が、イスラム教徒と非イスラム教徒間の争い」であり、「イスラムと戦闘性との間には、明白な関連性がある」として、イスラム文明圏の好戦性を批判した。ハンチントンが死去して3日目の27日、イスラエルはイスラム過激派ハマスが支配するガザ地区に100トンの爆弾を浴びせる大空襲を行ない、約1000人の死傷者を出した。1967年の第3次中東戦争以来パレスチナで生じた最も多い死傷者の数だ。ハマスが、停戦延長を拒否し、イスラエルの南部地域にロケット弾を発射したことに対する大規模な報復だった。

◆ライス米国務長官は、「今回の事態の責任は、停戦を破った過激派ハマスにある」と述べた。いっぽう、停戦を仲裁したエジプトは、イスラエル軍の攻撃を「前例のない大量虐殺」とし、トルコは、「国際平和を阻害する暴動」として非難した。文明圏によって、今回の事態を見る目がこのように異なる。両者の武力衝突には、長年の領土紛争やイスラエルの国境封鎖によるパレスチナの経済難といった複雑な要因が絡み合っている。しかし、その根底には、中東地域で長年競合してきたイスラム教とユダヤ教の排他性があることも間違いない。ハンチントンの洞察が輝く点だ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)shchung@donga.com