法務部が29日、李明博(イ・ミョンバク)大統領に報告した新年業務計画は、「法秩序の確立による経済回復」に重点が置かれている。
国家成長エンジンを侵食する不正腐敗の鎖を断ち切るため、検察の捜査力を強化し、法執行を厳正に行なう。また、経済危機で困難にある企業と国民には、法律の支援拡大と制度改善を通し、活力を吹き込むということだ。
しかし、法務部が意欲的に推進しようとする計画の一部は、既存の法律体系と衝突する恐れがあり、十分な検討と補完が必要だという指摘も出ている。
▲免責条件付き供述制度を導入〓第3者の犯罪事実を供述すれば、供述者自身の罪を減免するという免責条件付き供述制度は、検察の権力型不正捜査に力を与えるものと予想される。
腐敗犯罪の代表的タイプである高級公職者の収賄事件の場合、贈賄の方も処罰することになっており、物的証拠を確保したり、自白を促すことに困難があるという指摘を受けてきた。
同制度が導入された場合、処罰を軽減する条件として供述することが可能になり、収賄や不法ロビーの捜査を進める上で役立つものと見られる。
しかし、大きな犯罪を突き止めるために小さな罪に目をつぶることが、法の正義に合致するのかという批判の素地がある。また、検察が捜査権と起訴権を独占している状況で、裁判所の領域である有罪・無罪および量刑判断の権限まで持つことになれば、これを統制する適切な装置がないという点も問題だ。
▲サイバー犯罪への対応を強化〓大手新聞の広告主不買運動や経済危機と関連したデマの流布など、インターネットで起きている新種の犯罪に対する捜査力を強化することに注目されている。
法務部は、ソウル中央地検に来年2月、既存の先端犯罪捜査部と別途に部長検事1人、検事3人、モニター員70人規模のサイバー犯罪専門部署を新設し、電算専門人材である約200人に捜査権を与える計画だ。
しかし、法務部のこのような計画に疑問を抱く人も少なくない。最近論議になった「サイバー侮辱罪」が、被害者の意思に関係なく、処罰が可能な点を考慮すると、政府がインターネット世論を統制しようとするのではないかという誤解を払拭する課題も抱えている。
▲倒産法・信託法の改正、経済難の活路になるか〓法務部の今回の業務報告には、例年よりも企業支援方案が多く含まれた。
債権者の同意を受け、更生手続きを始めた企業に対し、金融機関が運営資金を融資する場合、優先返済権を与える倒産法改正案は、来年1月に国会に提出される予定だ。
将来、収益を出し借金を返済できる可能性が十分ある会社が、一時的な資金難で黒字倒産することを防ぐことが趣旨だ。
1961年の制定以来、一度も改正されず、変化した企業の現実を反映できていないという指摘を受けてきた信託法も、柔軟に改正される。
現行法では、開発が予定された100億ウォン相当の土地を不動産受託会社に信託すれば、3、4年後に資金回収が可能だった。しかし、これからは、該当する土地での開発利益を事前に証券化し処分でき、企業の資金調達に大いに役立つものと見られる。
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