江南(カンナム)の富裕層の間で財テクの手段として人気を集めていた「貴族契(ケ=日本の頼母子(たのもし)講に該当)」が相次ぎ破綻し、社会的な問題となっている。
経済難のため出資金を払えない会員が増えた上、いくつかの契に同時に加入して「片方からもらった資金で他方の出資金をまかなう」というやり方で資金を運用していた人たちが、多福会が破綻し、重複加入していたほかの契の出資金を払えない状況が起きているためだ。
▲「チョンソル会」は法定紛争に巻き込まれる〓1日、ソウル中央地裁によると、クォン某氏は、ソウル江南周辺で「チョンソル会」という巨額の契を運営するハン某氏が最近、契の運営が厳しくなったことをうけて行方をくらましたために、契の資金を受け取れなかったとして、13億5000万ウォンを支払うよう訴訟を起こした。
クォン氏は訴状で、「ハン氏の勧めで07年8月半ばごろに、5000万ウォンの番号契(順番を決め、順番どおり会員が出し合った資金を受け取る契)に2口加入して金を全額支払ったものの、契の出資金を受け取っておらず、同年12月に貸した3億ウォンも返してもらえなかった」と主張した。クォン氏は、「ハン氏は、私から借りた金を返済する代わり、ほかの人が運営する契に私の名前で私の代わりに払い込むとして資金を受け取ったものの、約束を守らず、残りの期間、その代わりに私が払い込まされる羽目になった」と付け加えた。
ハン氏は、クォン氏のほかにも、ほかのメンバー30人あまりから告訴されることが分かっている。
▲落札契の不透明さ〓貴族契を巡る雑音が後を絶たない理由としては、高い利息を約束した人が先に資金を受け取る落札の方式で運営されているためだ。
多福会のように、先に資金を受け取った人が高い利息を払いきれずに行方をくらますと、その負担はそのまま契の親やほかのメンバーに転嫁されることになる。また、複雑な計算方式のため、規模の大きい契であるほど、メンバーらは親の言葉だけを信じて、資金がどのように運営されるか全く知らないケースも多い。
契のメンバーや親らが複数の契に同時に加入し、「一方から受け取った資金で他方の出資金に当てる」やり方を取ってきたのも被害を増幅させた。
「ハンマウム会」の場合、多福会に重複加入したメンバーらは、多福会が破綻したためにきちんと出資金を払えず、破綻する危機に追い込まれていることが明らかになった。
江南地域の一部の契は、契の親がほかの契を通じて資金を運用したり、資金が足りない時はお互いに金を融通しあうケースも少なくないことが分かり、貴族契の相次ぐ破綻は当分続くものと見られる。
▲被害の立証と金の返済は困難に…急がれる法的規制〓貴族契が破綻して貸し倒れになったメンバーらは、被害額を返済してもらうには大きな困難を覚えている。
多福会の被害者らの弁護を担当している林潤泰(イム・ユンテ)弁護士は、「親を相手に貸し倒れとなっている資金を返してもらうためには、資金の運用事実を立証しなければならず、正確な事実関係の確認は厳しいのが現状だ」と述べ、「先に資金を受け取った人々を相手に債権の取立てを行う方法もあるが、これも同様に契の親が資料を出そうとせず、困難なのが現状だ」と話した。
ソウル中央地検の池益相(チ・イクサン)部長検事は、「『契』という名称を使ってはいるが、メンバーらの資金を貸し金業や企業の買収合併などに投資して、高収益を支払う貴族契は『類似受信行為の規制に関する法律』を適用して規制する案などを検討する必要がある」と話した。
dawn@donga.com neo@donga.com