「I’m sorry, I don’t speak English」
昨年12月8日、スウェーデンのストックホルム大学で開かれたノーベル賞受賞者の記念講演の会場。益川敏英教授は、演説の冒頭をこのように始めた。聴衆からは笑いが広まった。すでに「英語のできない日本人学者」の話は現地でも話題となっていた。続いて益川教授は日本語で演説を行い、聴衆は彼の後ろに映っている英語の字幕を懸命に読み下した。
これに先立ち益川教授は、ノーベル賞受賞者に決まったあと、英語での演説が慣例となっている授賞式で英語をしゃべらなければならないのなら、自分は行かないと宣言した。すると、ノーベル賞委員会では授賞式で、日本人受賞者の演説を日本語で発表できるように配慮した。だからといって、益川教授は全く英語が分からないのではない。英語の論文を滞りなく読み、問題点まで指摘できる、いわば「机上の英語」である。
益川氏は授賞式の後、あるインタビューで、当時のパーティー会場であった出来事をこのように伝えた。
「世界的な学者らを目の前にしていても話し合うことができず、非常に残念だった。英語がうまければそれに越したことはない」
さらに益川教授は、「若者は絶対英語を喋るべきだ」と訴えた。国際化時代に英語ができなければ、自ら孤立するのと同じだということ。
しかしその彼も、今回のインタビューで、今後は英語の勉強をするつもりなのかという質問に対し、「この年になって、どうして?」という反応を示した。
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