入試の自主化を行うという政府の意志が後退している。各大学では今年、高校に進学する生徒らが受ける12学年から、入試が完全に自主化されると理解していた。しかし、教育科学技術部は13日、「完全自主化を行うかどうかは、13学年度の入試以降、社会的なコンセンサスを経て決定する」と、いきなり言葉を変えた。民間団体である大学教育協議会に任せた入試業務も「教育協力委員会」という機構を立ち上げて、政府が再び口出しするという意志を明らかにした。
◆新たに示された時期を見れば、自主化の意志が果たしてあるのか疑わしい。13学年度の入試が終わる13年2月頃は現政府の任期が終了する。完全な自主化は行わないことを、遠まわしに表明したことになる。政府の態度の変化は最近、延世(ヨンセ)大学が12学年度の随時選考で、大学ごとに試験を実施すると明らかにしたことが引き金となった。延世大学が、3不政策で禁止された本試験を導入するものとみて、ブレーキを掛けたのである。
◆本試験を導入すれば、私教育費が増え、公教育は台無しになると懸念する保護者や教師らがいないのではない。政府はわざわざ大学の肩を持って、支持率を落とせる必要まではないと判断したようだ。しかし、この数年、私教育費が高騰した原因を、科学的に分析する必要がある。韓国教育開発院が調査した私教育費の規模は、1年の10兆ウォンから03年は13兆ウォンへと増えた。統計庁が07年調査した時は20兆ウォンだった。00年代に入ってだけでも2倍へと跳ね上がったことになる。
◆主犯は前政権が導入した複雑な入試方式である。その真ん中に、「内申入試」がとぐろを巻いている。内申成績は私教育を受ければ、短期間で引き上げることができる。ほとんどが簡単な回答方式であるためだ。内申のための私教育は全ての科目にわたって行われている。生徒らは論述や大学修学能力試験(日本のセンター試験に該当)も一緒に準備しなければならず、私教育費の支出増加は必然的なものになってくる。一方、本試験は教科書の中から出題されるという原則だけ守れば、私教育費を減らすことができる。選考方式が単純になれば、その分だけ私教育費は減少するだろう。大学入試の本試験は1997年に廃止された。その時と今は事情が相当変わっている。教育部が口出ししてだめになったから、大学の自主に任してみてもいい時期にきている。空気によって右往左往する政府は、改革を遂げることはできない。
洪贊植(ホン・チャンシク)論説委員chansik@donga.com