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[オピニオン]主審判事

Posted February. 19, 2009 08:17,   

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韓国の司法史上、故・兪泰興(ユ・テフン)元最高裁判所長官ほど大きな事件の主審を矢継ぎ早に担当した判事もいない。最高裁判官だった1980と1981年、「10・26事件」と「金大中(キム・デジュン)内乱陰謀事件」の主審判事だった。主審の選定に新軍部の意志が、反映された。兪氏の主導で、金載圭(キム・ジェギュ)元中央情報部長、金大中元大統領らに迅速な死刑確定判決が言い渡された。その功績のためか、彼は1981年、先輩の最高裁判官を抜いて最高裁判所長官に上り詰め、前任の李ヨンソプ最高裁判所長官は「悔恨と汚辱」という言葉を残し、2年ぶりに降りた。

◆最高裁判所の場合、通常、主審判事は判決に大きく影響する。捜査や裁判記録と判例の検討、判決文の作成などを担当しているため、当該事件に最も詳しいからだ。3人から構成される高等裁判所と地方裁判所の合意裁判部の場合、裁判の進行は裁判長が主管し、2人の陪席判事が、事件を分け主審を受け持つ。主審判事の意見は尊重されるが、考えが異なる場合は、し烈な論争を繰り広げることもあり、裁判長が最終的に調整役を務める。

◆狂牛病の恐怖を歪曲・誇張したMBCの「PD手帳」の制作陣を相手取り、2400人あまりの視聴者が起した損害賠償請求訴訟を却下した判決の主審判事が、議論に巻き込まれた。民主党の千正培(チョン・ジョンベ)議員の娘だという事実のためだ。千議員は昨年、ロウソク集会に参加し、ロウソク集会の合法化のための「集会と示威のための法律」の改正案を発議した。裁判部のソウル南部地裁民事16部は、「PD手帳が多数の視聴者に精神的な苦痛を与えたとしても、損害賠償の責任を負わせることはできず、ロウソク集会を誘導したという証拠もない」と明らかにした。しかし、検察がPD手帳に対し、公訴を提起し、司法府の有罪判決を下せば、この民事訴訟の結論も変わりえる。

◆この訴訟を代理した「市民と共にする弁護士の集まり」(市弁)は、「主審判事がロウソク集会を擁護した千議員の娘なので、公正な裁判を期待し難い」とし、裁判部の忌避申請を出したが、断られた。父親と娘だからと言って、考え方が同じだとは限らないし、父親が直接関与した事件でもないため、裁判の公正性と直結させるのは難しい。しかし、裁判長が、主審を2人の陪席判事のうち、別の判事に任せていたら、同じ結論が出されたとしても議論は、避けられたかも知れない。

陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com